米澤穂信「リカーシブル」

リカーシブル (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社 (2015-06-26)
売り上げランキング: 136,352

内容(「BOOK」データベースより)

越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ…。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。


全体的に漂う不穏な気配はサスペンスっぽくて良い。しかし、ミステリ的には謎の核心になかなか迫らず、その周辺をうろうろしているように感じられて、イライラしたし、ラストも尻切れトンボっぽい。ヒロインの物語として読むときれいにまとまっている気もする。ある意味での大仕掛けはトンデモで、しかしながら予想を裏切るものではなかった。

光ファイバーの線をネズミに齧られて、ネットから切断されたので、読書が捗った。
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大山誠一郎「密室収集家」

密室蒐集家 (文春文庫)
大山 誠一郎
文藝春秋 (2015-11-10)
売り上げランキング: 351,079

内容(「BOOK」データベースより)

鍵のかかった教室から消え失せた射殺犯、警察監視下の家で発見された男女の死体、誰もいない部屋から落下する女。名探偵・密室蒐集家の鮮やかな論理が密室の扉を開く。これぞ本格ミステリの醍醐味!物理トリック、心理トリック、二度読み必至の大技…あの手この手で読者をだます本格ミステリ大賞受賞作。


本格ミステリだった。連作としての仕掛けが炸裂するのを期待していたが、不発に終わった。トリックは見え見えで、推理にはツッコミどころ満載だが、いくつか意外な犯人が見えて楽しかった。

梓崎優「叫びと祈り」

叫びと祈り (創元推理文庫)
梓崎 優
東京創元社
売り上げランキング: 326,938

内容(「BOOK」データベースより)

砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第5回ミステリーズ!新人賞受賞作を巻頭に据え、美しいラストまで突き進む驚異の連作推理。各種年末ミステリ・ランキングの上位を席捲、本屋大賞にノミネートされるなど破格の評価を受けた大型新人のデビュー作。


「砂漠を走る船の道」どうやら叙述トリックが仕掛けられていたようなのだが、わかりやすすぎて、その事実を意図的に隠しているのか、単に描写が下手なのか、判断できないまま、クライマックスに突入して、思い描いていたとおりの情景が現れ、反応に困った。それを抜きにしてもミステリ的には弱い。ソリッドシチュエーションってことなのかな。
「白い巨人」なぜか非常に読みづらかった。そして謎の答えがひどかった。
「凍れるルーシー」オチがはっきりしない。オカルトなのか?
「叫び」スリラー。
「祈り」これは叙述トリックなのか? 
面白かったが、ミステリ的には評判ほどのものとは感じなかった。

森博嗣「ダマシ×ダマシ」

ダマシ×ダマシ Xシリーズ (講談社ノベルス)
講談社 (2017-05-03)
売り上げランキング: 83

内容(「BOOK」データベースより)
「もしかして、ある人に騙されてしまったかもしれないんです」上村恵子は、銀行員の鳥坂大介と結婚したはずだった。求められるまま口座を新設し、預金のすべてを振り込んだ。だが、彼は消えてしまった。預金と共に。鳥坂の捜索依頼を受けたSYアート&リサーチの小川令子は、彼がほかに二人の女性を騙していたことをつきとめる。だが、その鳥坂は死体となって発見された。事務所メンバの新たなる局面。Xシリーズ最終話!


キャー!西之園さんだ!キャー!と、西之園さんの大ファンの私は彼女が登場するだけで満足なのだが、今回は謎らしい謎がなく、存外、普通の話だと思って読み終えようとしたら、最後に同窓会が始まってびっくりした。一気読みしたから伏線を覚えている。それゆえやられた感が強い。これでXシリーズは綺麗に完結したが、ナオミって誰だ?

麻耶雄嵩「貴族探偵対女探偵」

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)
集英社 (2016-11-04)
売り上げランキング: 332

内容(「BOOK」データベースより)
新米探偵・愛香は、親友の別荘で発生した殺人事件の現場で「貴族探偵」と遭遇。地道に捜査をする愛香などどこ吹く風で、貴族探偵は執事やメイドら使用人たちに推理を披露させる。愛香は探偵としての誇りをかけて、全てにおいて型破りの貴族探偵に果敢に挑む!事件を解決できるのは、果たしてどちらか。精緻なトリックとどんでん返しに満ちた5編を収録したディテクティブ・ミステリの傑作。


「白きを見れば」先にドラマを見てしまったのでネタバレ済み。原作のほうが面白いな。
「色に出でにけり」なんか普通のミステリだったぞ。
「むべ山風を」また普通。驚天動地の真相を期待するのが間違っているようだ。
「幣もとりあへず」なんて油断していたら『こうもり』の衝撃が再び!先にドラマを見てしまったのが大失敗だった。しかしそれでも展開が違うなと思っていたらまさかのアレに度肝を抜かれた。
「なほあまりある」お見事。しかし残念ながらこの形式はこれで終わりのようだ。次のコンセプトが気になる。

ドラマ化を機に読み始めたら一気に読めた。
読了したのは半年ぶりだ。
「神は沈黙せず」は去年からちまちまと読み進めているのに未だに上巻すら読めていない。
この差はなんだろう?

東野圭吾「禁断の魔術」

禁断の魔術 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋 (2015-06-10)
売り上げランキング: 6,181

内容(「BOOK」データベースより)

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作!


読みやすい。
面白い。
ミステリ的には特筆すべきものはないが、エンタメ的にはこれで必要十分である。
もはやラノベである。

歌野晶午「絶望ノート」

絶望ノート (幻冬舎文庫)
歌野 晶午
幻冬舎
売り上げランキング: 110,075

内容(「BOOK」データベースより)

中2の太刀川照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。結果、是永は忽然と死んだ。が、いじめは収まらない。次々、神に級友の殺人を依頼した。警察は照音本人と両親を取り調べたが、殺しは続いた。


面白かったけどそれ以上に長かった。
長かった分、終盤における怒涛のような種明かしは、それでいいのかと思う部分もあったものの、十分なカタルシスを与えてくれた。
残念だったのは、おそらくメイントリックであるところの一番大きな仕掛けが早々に見えてしまったことだ。
そのせいで謎が無効化されて真相がどうでもよくなった。
それでも何か別の予想だにしないトリックが仕掛けられているのではと期待しながら読み進めたが、その期待は儚く消えた。
これが300ページくらいにまとまっていたら文句なしの傑作だっただろう。

森博嗣「χの悲劇」

χの悲劇 (講談社ノベルス)
森 博嗣
講談社
売り上げランキング: 66

内容紹介

あの夏、真賀田研究所でプログラマとして働いていた島田文子は、いくつかの職を経て、香港を拠点とする会社で職に就いていた。
人工知能に関するエキシビションの初日、島田は遠田長通という男に以前、愛知で起きた飛行機事故に関する質問をされる。
トラムという動く密室で起きる殺人。その背後に感じられる陰謀。静かだった島田の生活が、その日を機に大きく動き始める。
Gシリーズの転換点。後期三部作開幕!


今回も1日遅れの田舎発売日に合わせて、遠い最寄りの大型書店まで足を伸ばして購入したわけだが、結局読み始めるのは数日後になった。わざわざ発売日に買う必要ないじゃん。
さて、感想だ。
やられた。
またしても映像化不可能な小説が増えた。
タイトルの通り「Xの悲劇」まんまかよ、と思ったらまさかのフィニッシングストローク。
違和感が一文で解消されるのは、今となっては得難い体験だ。
これがあるからいつまでたってもやめられない。
本作でGシリーズ当初からの謎がひとつ明らかになり、終着点も見えたような気がする。
まだ読んでないWシリーズにも手を出すべきか。

Xの悲劇 (新潮文庫)
Xの悲劇 (新潮文庫)
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クイーン
新潮社
売り上げランキング: 168,038

山口雅也「PLAY」

PLAY プレイ (講談社文庫)
山口 雅也
講談社
売り上げランキング: 951,834

内容(「BOOK」データベースより)

外科医が、愛するぬいぐるみたちと興じる、秘密の「ごっこ遊び」。怖ろしい罠が待ち受ける「ボード・ゲーム」。引き篭もりたちが、社会復帰のためにと熱中する「隠れ鬼」。自分の家族がそっくりそのまま登場する「RPGゲーム」。四つの奇妙な「遊び」をモチーフにした超絶技巧の、ミステリ・ホラー短編集。


「ぬいのファミリー」ホラーなのだろうが恐怖はない。
「蛇と梯子」一応ミステリなのかな。
「黄昏時に鬼たちは」ある意味真っ当なミステリ。綺麗に騙されたわけだが、やはり驚愕につながらない。
「ホーム・スウィート・殺人」クラインの壺かなと思ったが、よりリアルなオチだった。

有栖川有栖「マレー鉄道の謎」

マレー鉄道の謎 〈国名シリーズ〉 (講談社文庫)
講談社 (2013-08-02)
売り上げランキング: 14,159

内容(「BOOK」データベースより)

旧友・大龍の招きでマレーの楽園、キャメロン・ハイランドを訪れた火村と有栖川。二人を迎えたのは、舞い飛ぶ蝶ならぬ「殺人の連鎖」だった。ドアや窓に内側から目張りをされた密室での犯行の嫌疑は大龍に。帰国までの数日で、火村は友人を救えるか。第56回日本推理作家協会賞に輝く、国名シリーズ第6弾。


長い。
特に序盤は退屈だった。
密室は解けなかった。
トリック自体は大胆でなかなか良かったのでは。
犯人の意外性はない。
真相も想像の範疇。
結論に至る論理はかなり危うい。
どこが評価されて推理作家協会賞を取ったのだろう。
というわけで、いらない情報が多いことを除けば、総じて読みやすく、面白かった。

會川昇「UN-GO 因果論」

UN-GO 因果論 (ハヤカワ文庫JA)
會川 昇
早川書房
売り上げランキング: 132,528

内容(「BOOK」データベースより)

“敗戦”後の近未来日本。I国から帰国したばかりの“探偵”は新興宗教団体・別天王会での連続不審死事件の捜査協力を依頼された。姿の見えない獣が出現するというその事件は、“探偵”が口を閉ざす過去、行動を共にする奇妙な少年・因果と密接な関係があった―坂口安吾『安吾捕物帖』原案のアニメ「UN‐GO」の劇場公開作を脚本家自身がノヴェライズした「因果論」に加え、小説版オリジナルの前日譚100枚を特別収録。


文脈の断絶を度々感じた。
何か仕掛けがあるのかと期待したが、単にそういう文章だったようだ。
アニメを見た記憶はあるが、こんな話だったっけ? 
たしか因果論も見たと思うのだが、全く記憶に残っていない。
そんな感じで多少の読みづらさを感じつつも、新鮮な気持ちで楽しめた。

UN-GO episode:0 因果論 初回限定生産版Blu-ray
東宝 (2012-04-20)
売り上げランキング: 50,878

柳広司「キング&クイーン」

キング&クイーン (講談社文庫)
柳 広司
講談社 (2012-02-15)
売り上げランキング: 550,061

内容紹介

二度読み必至!! 新たなる「ゲーム」、ここに始まる。

「巨大な敵に狙われている」。元警視庁SPの冬木安奈は、チェスの世界王者アンディ・ウォーカーの護衛依頼を受けた。謎めいた任務に就いた安奈を次々と奇妙な「事故」が襲う。アンディ(キング)を狙うのは一体誰なのか。盤上さながらのスリリングな攻防戦(ゲーム)――そして真の敵が姿を現した瞬間、見えていたはずのものが全て裏返る!

<ゲームを始める際の心得>
一、相手の手を、注意深く読め。
一、相手の心を、注意深く読め。
一、考えろ。無限の可能性を疑え。


確かにトリックはしかけてあり、見事に騙されてしまったわけだが、何かが違うんだよな。
一言で言えば、カタルシスがない。
その事実が明かされたところで、それまで見えていた景色がひっくり返るわけではないからだ。
いや、厳密に言えばひっくり返っているのだが、その重要性を感じられなかった。
もっと重大な錯誤が望ましいが、要素としてみればこれ以上のものはなかなかないだろうし、難しいものだ。
裏表紙のあらすじを読んで思ったのだが、仮にフーダニットとして読んでいたら、もっと驚くことができたのかもしれない。

道尾秀介「球体の蛇」

球体の蛇 (角川文庫)
球体の蛇 (角川文庫)
posted with amazlet at 16.04.01
道尾 秀介
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-12-25)
売り上げランキング: 176,993

内容(「BOOK」データベースより)

幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。


普通に読めるからいいのだけれど、やはり期待していたのとは違った。
未だに私は本格ミステリが読みたいらしい。
意外な真相があっても、それが驚愕につながらない。
枷の多い狭い世界の物語のほうが良さそう。

中山七里「連続殺人鬼カエル男」

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
中山 七里
宝島社 (2011-02-04)
売り上げランキング: 6,051

内容(「BOOK」データベースより)

口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに…。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは?正体とは?警察は犯人をとめることができるのか。


サプライズは一体どこにあったのだろう?
終盤のどんでん返しならありきたりだし、フィニッシュブローは収まりが悪いし、唯一それっぽい企みは不発だし、よくわからない。
特にカエル男のパートとナツオのパートはまるまる要らなかったよね。
それと薀蓄に相当する部分が非常に薄っぺらい。
学生のコピペレポートみたい。
そんな感じで色んなものが上滑りしている印象。
期待していたのとは違ったが、それでもそこそこ楽しめたので良し。

島田荘司「透明人間の納屋」

透明人間の納屋 (講談社文庫)
島田 荘司
講談社 (2012-08-10)
売り上げランキング: 451,557

内容(「BOOK」データベースより)

昭和52年夏、一人の女性が密室から消え失せた。孤独な少年・ヨウイチの隣人で、女性の知人でもある男は「透明人間は存在する」と囁き、納屋にある機械で透明人間になる薬を作っていると告白する。混乱するヨウイチ。やがて男は海を渡り、26年後、一通の手紙が届く。そこには驚愕の真実が記されていた。


流石に無理がありすぎる。
古めかしい本格志向ではあるものの、現代人たる読者にとって謎がほとんどない。
発表当時はそこそこホットな話題だったはずだし、今では常識となっている。
そんな中、最後まで私の頭を悩ませた謎の答えが酷かった。

詠坂雄二「電気人間の虞」

電氣人閒の虞 (光文社文庫)
詠坂 雄二
光文社 (2014-04-10)
売り上げランキング: 210,728

内容(「BOOK」データベースより)

「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!?ライターの柵馬朋康もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘う―。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!


残念ながら物語としてはあまり面白くなかった。
しかしそこは大した問題ではない。
最後に大仕掛けが炸裂して全部持って行った。
トリックの類例は私でもいくつも思い浮かぶが、本作が上手いのは必然性を伴っているところだ。
ただ驚かすためだけのものだったら、「あっそ」の一言で受け流すところだが、ここでは全てが真相に収束していて、やられた感が非常に強い。
全然違うけど、構造的には「ウルチモトルッコ」に近い。
ということで大満足だ。
最後のトリック (河出文庫)
深水 黎一郎
河出書房新社
売り上げランキング: 165,851

詠坂雄二「リロ・グラ・シスタ」

リロ・グラ・シスタ: the little glass sister (光文社文庫)
詠坂 雄二
光文社 (2013-12-05)
売り上げランキング: 527,158

内容(「BOOK」データベースより)

私立吏塚高校の屋上で葉群という男子生徒の屍体が見つかる。その前日、「吏塚の名探偵」は、生徒たちが帰宅し出払った宵闇の更衣室で、同級生の観鞍に遭遇していた。最も怪しむべきその人物は名探偵に依頼する。「葉群の死に関わっていないって証明してよ」…。独特の文体、極限まで凝った趣向。ミステリ界の破格のトリックスターによる衝撃のデビュー作!


凄まじい文体に冒頭から面食らった。
巫山戯てるな、と思いながら読み進めていたが、すぐにある可能性を思いついた。
その仮説を念頭に置くと、伏線がはっきり見えた。
結果として早い段階から真相に至ってしまったわけだが、だからこそ仕掛けの妙を楽しめた。
この短さに詰め込みすぎだろう。
綾辻行人激賞というのがよくわかる。
できればきれいに騙されたかったな。

深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」

五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)
深水 黎一郎
東京創元社
売り上げランキング: 582,286

内容(「BOOK」データベースより)

昆虫好きの、おとなしい少年による殺人。その少年は、なぜか動機だけは黙して語らない。家裁調査官の森本が接見から得たのは「生きていたから殺した」という謎の言葉だった。無差別殺人の告白なのか、それとも―。少年の回想と森本の調査に秘められた“真相”は、最後まで誰にも見破れない。技巧を尽くした表題作に、短編「シンリガクの実験」を併録した、文庫オリジナル作品。


「五声のリチェルカーレ」
読み始めてすぐに、書かれていない情報が多すぎることに気づいた。
何らかの仕掛けのにおい。
書かれている情報から想像を広げ、ひとつの形に思い至った。
そして読み終えたときの感想は、「あれ?」だった。
ページを遡って確認する。
伏線はひとつしか見つけられなかった。
確かに認識が終盤で反転し、「お前かよ」という意外性はある。
しかし何かが違うのだ。
この感覚をうまく言葉にできない。
私が思いついたのがタイトルから連想した「慟哭」×5といった趣の到底有り得そうにない構図だったからなのかもしれない。

「シンリガクの実験」
まさかのギャグ小説だった。
とても楽しめた。

三津田信三「百蛇堂 怪談作家の語る話」

百蛇堂<怪談作家の語る話> (講談社文庫)
三津田 信三
講談社 (2013-12-13)
売り上げランキング: 93,150

内容(「BOOK」データベースより)

作家兼編集者の三津田信三が紹介された男、龍巳美乃歩が語ったのは、旧家、百巳家での迫真の実話怪談だった。数日後、送られてきた原稿を読んだ三津田と周囲の人々を、怪現象が襲い始める。もうひとつの怪異長編『蛇棺葬』から繋がる謎と怪異が小説の内と外で膨れあがるホラー&ミステリ長編。全面改稿版。


大オチは完全に予想を凌駕された。
そのひとつ手前の種明かしが、冒頭から自ずと明らかで、私自身その可能性に思い至った時点で思考停止してしまっていた。
そうであるならば、事件の様相がどう変わるのか、結局最後まで考えがまとまらなかった。
どうもあの伏線の張り方は、そもそも隠す気がないようにも思える。
騙されやすい読者はまんまと騙され、ひねくれ者はトリックを見破ったと思って満足してしまうという絶妙なバランスだ。
そして名前の本当の意味に気付くことができなかった。
ミステリ的にあの密室はガバガバ過ぎて、解法はいくらでもあったように思う。
私の推理は飛鳥とほぼ同じだった。
バッドエンドからメタフィクション性がまさかの解説まで続いてなかなかに楽しめた。
後の「首無の如き祟るもの」を予感させるような傑作だった。

あと、どうでもいいけど、柱に書かれている十二章の章題の誤植が気になった。
正「蛇迂郡它邑町蕗卯檜へ」→誤「蛇迂郡它邑町蕗卯へ」
ちなみに講談社文庫初版。

三津田信三「蛇棺葬」

蛇棺葬 (講談社文庫)
蛇棺葬 (講談社文庫)
posted with amazlet at 16.02.04
三津田 信三
講談社 (2013-10-16)
売り上げランキング: 125,157

内容(「BOOK」データベースより)

幼い頃、引き取られた百巳家で蛇神を祀る奇習と怪異の只中に“私”は過ごす。成長した“私”は訳あって再びその地を訪れる。開かずの離れ“百蛇堂”での葬送百儀礼で何が起こるのか?もうひとつの怪異長編『百蛇堂 怪談作家の語る話』へと繋がるホラー&ミステリ長編。著者の創る謎と怪異の世界。全面改稿版。


相変わらずホラー小説の怖さというものがよくわからないが、それでも面白かった。
唯一心を動かされたのは、死体の皮膚が削られる描写だ。実に気持ちが悪い。
ミステリ的に読めば、問題編だ。密室トリックと一連の事件の全体像がポイントだろう。
それと恒例の名前も気になる。
ストーリーとは全然関係ないけど、読んでいて気になったのは、仄めかしが多い点。「Another」を読んでいるときにも同じものを感じた。作者の都合で肝心な部分が先延ばしにされている気がする。
次は「百蛇堂」。

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