西澤保彦「夏の夜会」

夏の夜会 (光文社文庫)
西澤 保彦
光文社
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テーマは記憶の不確かさ。
そのおかげでいつまでたってもすっきりしない。
客観的な情報が何一つ出てこないことが原因だ。
主人公は次第に過去を思い出していくが、それすらも確かではない。
推理の根拠となる事実が確立していないので、結論まで曖昧。
こういう企みなのはわかるが、面白くはない。
ついでに文章が冗長なのも読みづらかった。
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斉藤肇「思い通りにエンドマーク」

思い通りにエンドマーク (講談社文庫)
斎藤 肇
講談社
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ユーモア本格といったところか。
探偵小説を皮肉りながら、物語は進む。
事件はインパクトに欠ける。
絞殺、撲殺、自殺の三つの事件。
視覚的な刺激もなければ、不可能趣味の衝撃もない。
凝った建物が用意されているのに、活かしきれていない気がした。
犯人も冒頭から見当が付く。
二時間ドラマ的なオチ。
ひとつの趣向として面白いのは、「作者への挑戦」という一見メタだが、実はそうでもないもの。
主人公=作者という形だから、物語の中で閉じている。
これが現実世界に侵食してくるようだったら、傑作になるだろう。
ミステリとしてはそれなりに価値があるのかもしれないが、面白くなかった。

連城三紀彦「美女」

美女 (集英社文庫)
美女 (集英社文庫)
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連城 三紀彦
集英社
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問題の「喜劇女優」だが、事件らしい事件は起きないのに七人の登場人物全員を消し去るという超絶技巧は見事に実現されていた。
オチが読めたのが残念。
私的ベストは、「砂遊び」。
メタな展開がお気に召しました。

京極夏彦「覘き小平次」

覘き小平次 (角川文庫)
京極 夏彦
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これは哲学だ。
それなりにミステリもしている。
又市がまだ若い。
上方で失敗したとは何のことだろう?
まあ、いつか語られるだろう。
もしかしたらすでに物語になっているかもしれない。
それにしても小平次である。
これは怖い。
元ネタを知らないから何とも言えないが、終章『覘き小平次』の美しさ。
そこにいたるすべてがあの座敷に収斂するまでの流れ。
さすが山本周五郎賞だ。

西尾維新「きみとぼくが壊した世界」

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
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ネタバレ注意。

第一章は病院坂黒猫の一人称で語られ、作者は病院坂黒猫。
イギリス人推理作家が「読むと死ぬ呪いの小説」を書いた。
その謎を解くためにロンドンへ飛び立った飛行機の中で、僧侶が死ぬ。
櫃内様刻の隣で、誰も手を下せない状況であった――という不可能殺人の話。
のっけから人物描写に違和感があったが、病院坂視点からではこのように見えるのかと思って読み進めていた。
すると怒涛の解決篇が始まり、トンデモ推理でフェードアウト。
さりげなく叙述トリックが使われているが、これは初めての人限定。
何これ?と思って第二章に進むと、今度は櫃内様刻視点で語られ、第一章は病院坂黒猫が書いた小説だったことが判明する。
第三章は、少し毛色が変わって、病院坂黒猫が狂言回しで、第二章は串中弔士が書いた小説だったことが判明する。
つまり、櫃内様刻はこの旅に同行していないということだ。
こんな感じで物語は虚実が反転しながら進んでいき、最後のオチは笛吹の正体とともにやってくる。
そして、結局何も起こらなかった、という結末。
作中作を用いての仕掛けはおもしろいが、成功しているとは思えない。
分析はしない。

宮部みゆき「火車」

火車 (新潮文庫)
火車 (新潮文庫)
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宮部 みゆき
新潮社
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評価が高い理由は理解できる。
単純に面白いからだ。
しかし、ミステリー的に大傑作かと問われれば疑問。
結局最後まで事件は起きなかった。
いや、何も起きていないのに読ませるところがすごいのか。

彼女の心理描写がないのは、「白夜行」を彷彿させる。
こちらのほうが先のようだ。
しかし、私は「白夜行」のほうが好き。

ところで、どこが火刑法廷なの?

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