森博嗣「レタス・フライ」

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)
森 博嗣
講談社
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文庫版初収録の「ライ麦畑で増幅して」が目当てで購入。
他は既読だが、「刀之津診療所の怪」のラストをちょっと読んだだけで震えた。
肝心の「ライ麦畑~」だが、ヒロインはあの小川さんで、椙田との出会いを描いている。
メインは、彼女の雇用主であるカリスマ経営者の急逝後の彼女の心情である。
遺言に「彼女の欲しいものをひとつ与える」という内容があった。
遺品の手帳には「午前と午後が背中合わせ。それが小川君のものだ」と謎の文言。
ミステリーとしての肝はここらしい。
この謎の答えは作中では明らかにされないが、難しい問題ではない。
実際、椙田は解読するが、彼女は理解できていない。
しかし、彼女が選んだものは正解だった。
社長はなぜあんな文を残したのか?
これが最大のミステリーかもしれない。
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皆川博子「死の泉」

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)
皆川 博子
早川書房
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ギュンター・フォン・フュルステンベルグという人物が記した作品を著者が翻訳したという体裁をとっている。

非常にわかりにくいので簡単に整理してみよう。

第一部はマルガレーテの手記である。第二次大戦中のドイツ。ギュンターの子を産むためにレーベンスボルンにやってきた彼女は、産まれてくる子のために所長のクラウスの求婚を受け入れた。芸術を偏愛するクラウスは、フランツとエーリヒという二人のポーランド人少年を養子にする。エーリヒの声を愛したためだ。生まれた男の子はミヒャエルと名づけられた。マルガレーテは、過去の言動のせいで元同僚のブリギッテから、自分の出生に関わる事実のために召使いのモニカから、それぞれ脅迫される。息子であるフランツに恋をする。戦況が悪化し、混乱の中でフランツはマルガレーテのためにモニカを刺殺した。死体を処理する途中、地下道の開かないはずの扉を開いた。

第二部は、1960年のミュンヘンで、ブリギッテとクラウスの息子であるゲルトとギュンターの二つの視点で物語は進む。ゲルトは極右集団に目をつけられ、母親は姿を消した。ギュンターはクラウスから廃城を売ってくれと依頼される。ギュンターの家でミヒャエルを加えた三人で仮装行列を見ることになり、そこでフランツとエーリヒらしき人物をクラウスは認め、追いかける。ゲルトはユーデンガッセにある<刑吏の酒場>でフランツとエーリヒと出会う。

第三部はギュンターが持つ城にすべてが集結する。そこで明らかとなるのは、エーリヒはあの日すでに死んでおり、ここにいるエーリヒは実はミヒャエルであり、もう一人のミヒャエルはマルガレーテとクラウスの間の子だという事実である。さらに、<刑吏の酒場>の女主人はアリツェで彼女の姉というのはレナだった。

解説で、訳者が作者であるギュンターと会見した模様が描写され、様々な暗示がなされる。読み取った限りでは、作者ギュンターはクラウスである。マルガレーテは接合手術を受けている。たぶん他にもいろいろあるはずだ。

結局、この作品は何なのだろう?
戦争小説にメタフィクションの手法を取り入れただけなのだろうか?
感想としては、長かった。
カタルシスは十分。

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