筒井康隆「残像に口紅を」

残像に口紅を (中公文庫)
筒井 康隆
中央公論社
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世界から言葉が消えていく。
その言葉が表していたものも同時に消える。
世界が言葉に隷属しているのだ。
これは社会風刺だろうか?
このルールの下では当然に表現がどんどん不自由になっていく。
しかし、いくらか回りくどくなった印象はあるが、中盤を過ぎても違和感はない。
終盤にさしかかって、難解な表現が増えていき、そこからの崩壊は凄まじい。
第三章は残り二十一音から始まるが、一音消えていくごとに加速度的に不具合を生じていく。
回文か早口言葉のようだ。
それでも、作者の言葉の選択と読者の想像力はたいしたもので、最終的に前衛的な詩のようになっても、意味は理解できる。
そして作者の死と共に物語は終結する。
まるで人生ではないか。
テーマは喪失感かな。
早い段階で明らかとなるタイトルの意味がそれを象徴しているように思える。
これは面白いというよりすごい小説なのだ。
そういう意味では「ロートレック荘事件」
よりもすごいと思う。
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