我孫子武丸「新装版 8の殺人」

新装版 8の殺人 (講談社文庫)
我孫子 武丸
講談社
売り上げランキング: 317041

伏線で鏡を使ったトリックなのはわかった。
使い方が見当外れだったが。
「カーを読んだ男」ってタイトルでもいいんじゃないか?
リアリティーなんて欠片もないが、こういう世界観だと思って読めば楽しめる。
解決は意外とあっさり。
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石持浅海「扉は閉ざされたまま」

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)
石持 浅海
祥伝社
売り上げランキング: 73738

この手の議論を積み重ねていくタイプの作品は、結論に向かって少しずつ方向を変えながら進むので曲芸的な驚きに欠け、議論に説得力を持たせるためには地味な展開にならざるを得ない。
さらに倒叙形式なのでハウダニットもフーダニットもない。
なぜ、という謎と探偵役がどのように真相に至るのかという点がミステリーとしての読みどころなのだろうが、あまり面白くなかった。
探偵役の突飛な言動のせいで作品の輪郭がぼやけてしまっている。

石持浅海「セリヌンティウスの舟」

セリヌンティウスの舟 (光文社文庫)
石持 浅海
光文社
売り上げランキング: 62795

物理的には薄いのだが、なぜか長く感じた。
『なぜ?』をしつこく追求してことごとく壁にぶち当たるという流れが、「じゃあ結局どうなの?」と逆に結論を急かす。
また、推理の前提となっているのが『特殊な状況で一体感を得た集団内の無条件の信頼』なので、わたしの貧困な想像力が及ばない。
「そんなこと言ったってわかるわけないじゃないか」というえなりみたいな反論のほうが説得力を持つのだ。
モチーフとなっている「走れメロス」もたぶん小学校か中学校で(道徳の時間!)読んだが、内容なんてとっくに記憶の彼方で人知れず星屑と化している。
ということで、あまり面白くなかった。

山本直樹「ビリーバーズ」


内容はもう期待通りの面白さ。
新興宗教をテーマに時事問題や歴史的事件のエッセンスを混ぜ込み、物語は進行する。
基本は夢である。「安住の地」という言葉も登場。
まとめてみよう。
信者の立場からすると、「生きてるとつらい。なぜ? 世の中が腐ってるからだ。だったら変えよう。腐った部分は切り捨てなければならない」ということで、世間と衝突し、逆に排斥され、被害者意識はさらに肥大し、その表れとして行動は過激になる。結果としてのっぴきならない状況に追い込まれ、「世の中に不満があるならまず自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ、口を噤んで孤独に暮らせ。それも嫌なら――」(by草薙素子)の原理に従い、アポトーシスへと向かう。生き残った男は自分の居場所を夢の中に見つけ、かつての同志と袂を別つ。
不満を持つ人間はどんなに恵まれた環境に囲まれても決して満足することはない。
だったらここでじっと我慢しようじゃないか。
足りないものなんてない。
すべては夢の中にある。

石持浅海「心臓と左手」

心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)
石持 浅海
光文社
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安楽椅子探偵だ。
HOWよりもWHY、という話。
物理トリックなんていかようにでもなるという主張はなかなか説得力がある。
心理的問題を扱う論理は納得できない部分もあるが、とにかく座間味くんはすごい。

桜庭一樹「GOSICK」

GOSICK  ―ゴシック― (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)
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ミステリーとしては駄作だろう。
伏線が雑だし描写のやわらかさがせっかくの閉鎖状況のサスペンスを台無しにしている。
キャラクターはまあまあかな。
さり気に叙述トリックだったらしい。
確かに性別は途中まで誤認していた。

三津田信三「赫眼」

赫眼 (光文社文庫)
赫眼 (光文社文庫)
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三津田 信三
光文社
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短編集。

「赫眼」フィニッシュブローが見事に決まっている。
「怪奇写真家」名前だ。こういう種明かしは面白い。
「見下ろす家」ホラーっぽいけどわからん。
「よなかのでんわ」世にも奇妙な物語になりそう。映像と相性が良さそうだ。
「灰蛾男の恐怖」探偵小説として成立していてなかなか。
「後ろ小路の町家」導入部はそそる。構成で読まされた。
「合わせ鏡の地獄」鏡地獄ってどんな話だっけ。鏡の球体の中に入ってっていう場面は覚えているが、それ以外はまったく覚えてない。実はこれがホラーなのか?
「死を以て貴しと成す 死相学探偵」逆転は面白かった。赫眼が出てきたのも良かった。

総評;やっぱりホラーはわからない。捻ってあればミステリーとして面白いけれど、ただの怪談を聞いても戦慄を覚えることはない。読み方を間違えているのか鈍感なのかわからないが、自然法則の範囲の作品しか楽しめないのは確かだ。だがそこにパズル要素があれば話は別。また緻密なパズルでなくても意外な形を見せてくれればそれで満足だ。

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