沼正三「家畜人ヤプー 第4巻」

家畜人ヤプー〈第4巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)
沼 正三
幻冬舎
売り上げランキング: 115661

まったく進まない。
イース学総論を終えて各論に入った感じで、細かい説明が多い。
ここまで来れば大きな驚きもないので、ページを捲る手を止めさせない魅力に欠けている。
要するに、長い。
あと最終巻だけ。
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D・M・ディヴァイン「災厄の紳士」

災厄の紳士 (創元推理文庫)
D・M・ディヴァイン
東京創元社
売り上げランキング: 26623

名探偵不在だが、確かに本格ミステリである。
冒頭からジゴロ(!)の視点でクライムストーリーみたいな幕開け。
しかし、主人公なのかなと思っていたネヴィルが舞台から消え、死体となって見つかったところで、方向性が見えてくる。
彼がアルマを騙していただけではなく、エリックを脅迫していたらしいとわかるが、父は内容をひた隠す。
サラの調査で隠し子のことだとわかり、共犯者の存在が問題視され、知っていた人物は絞られる。
そしてハリーが自白するが、ネヴィル殺しは否定して、死んでしまう。
事件は犯人の自殺ということで片が付いた。
が、捨てられていた金が見つかり、にわかに自殺という結論が疑われ始め、サラは考えないようにしていた真相に気づいてしまう。
ミステリ読みとしてのメタな視点から見れば、ありきたりな結末である。
しかし、フーダニットのパズラーとしては伏線もしっかり張ってあり、誰がやった? という点についての意外性も申し分ない。
何より、この文体の読みやすさが心地良かった。

J・D・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」

皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)
ディクスン・カー
東京創元社
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久しぶりに意味のわからない翻訳文に出くわした。
トリックは心理的。
読みやすい文体だったらさぞ面白かったことだろう。
半世紀前の日本語はもはや古語だということだ。
謎の所在が掴めないのだからミステリとして楽しめるわけもない。
残念。

山田正紀「エイダ」

エイダ (ハヤカワ文庫 JA (599))
山田 正紀
早川書房
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・不完全性定理;波動として確率的に存在する量子は観測された途端に実在し始める。
・並行宇宙;可能性の数だけ――つまりは無限に、世界は分岐する。
・人間原理;われ観測す。故に宇宙在り。
以上をまとめると、人が物語ることによって宇宙は生まれ、その数は無限であり、それらは等しく量子の揺らぎによる幻である。したがって、量子コンピュータを用いれば、世界を作り出すことも可能になる。時間移動ができる道理だ。
物語の物語を物語れば物語は無力化される。
核にあるのはメアリ・シェリー作「フランケンシュタイン」。
エイダ。知性体との存亡を欠けた戦い。ゾロアスター教の神話でそれは語られる。
理屈もわからないし、ストーリーラインもわからない。
が、面白い。

京極夏彦「前巷説百物語」

前巷説百物語 (角川文庫)
京極 夏彦
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 67375

「寝肥」上方で何やらへまをして江戸に流れてきた又市がゑんま屋に雇われるきっかけの話。遊女への恋慕。最も奇怪なのは人の心。夢を現に、現を夢に。あとには怪しげな噂が巷に残るばかり。だから巷説なのだ。
「周防大蟆」仕掛けの成功する可能性は低いと思う。関係の捩れは興味深い。蝦蟇でカマの話でした。ていうか損料屋の理屈がわかりにくい。他人の損を金と引き換えに引き受ける商売だというのはわかる。だが、依頼人と標的の関係になるともうわからない。何が損で何が損じゃないのか。いや、感覚的には理解できるのだが。あの説明を読んでも頭に入ってこない。
「二口女」人の心がミステリーなのだ。
「かみなり」雷獣の説明をどう活かすのか楽しみにしていたら、あの人との出会いの話になった。
「山地乳」巨悪との対決。お粗末な密室トリックは舞台と相性が良い。力がなければ信念を曲げざるを得ない。「旧鼠」鼠と猫の話。猫は鼠を食べ、旧鼠は猫を食べる。鼠は猫の王のもとへ自ら赴きその命を供物とする。しかし実は猫の王なんていない。猫は祇右衛門、鼠は身分のない人々。そして又市は御行となった。
この読みやすさは化物だな。雰囲気もすごい。光が足りてないから妖しいものが存在してもおかしくない気がするのだが、あくまですべては合理的に説明される。
いやぁ、すごい。

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