伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
伊坂 幸太郎
祥伝社
売り上げランキング: 1917

当然のことながらリーダビリティは抜群。
意外にもオーソドックスなミステリーだった。
それぞれが特殊な能力を持つ4人組強盗犯のクライムストーリーとして始まり、予想外の出来事による失敗、仕返しに出向いた先で殺人事件に遭遇、事件の全体像が見えたところで二転三転する騙し合い。
こうなってくると予定調和なのが却って良い。
ハードボイルドなのかもな。
人生の警句を吐きまくっているから。
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西尾維新「零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係」

零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 15174

結論から言うと、無桐伊織との関係:兄妹関係、関係継続――ということだ。
しかし、日本語は難しい。
二冊目にして、あとがきの意味を誤解していたことに気づいた。
四冊のうちどれもが最終巻たり得るのである。
作者指定の順番に読むと、伏線が機能する構造になっているのだろう。
読んでいてよくわからない箇所がそれだと思う。
今度は家族の話かな。
繁殖が趣味という物凄いキャラの登場がそれを象徴しているように思う。
家族って何?というのも人間関係の中に含まれる。
人類最強は「そんなのどうでもいいじゃん」って感じでその疑問に答えた。
要するにそういうことだ。

西尾維新「零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係」

零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 31888

どうやら最終巻だったらしい。
ナンバリングされているわけではないので順番は大して重要じゃないのだろうが、作者自ら最後と言っているということはそれなりの理由があるはずで、もしかしたら失敗だったかもしれない。
人識の物語ではなくて、出夢の揺らぐ自意識のお話だった。
結果、敵対関係で継続ということで、まあ、すでに未来は語られているわけだから、ある意味予定調和ではあるが、そうなるまでに何があったのかということが明らかにされたという点においては意味があったと思う。
そういえば二段組の文を読むのは久しぶりだ。
そのせいで読みづらいのかと思っていたけれど、今気づいた。
文体が三人称向きではないのだ。
「ぼく」の一人語りじゃないと成立しないようだ。

道尾秀介「ソロモンの犬」

ソロモンの犬 (文春文庫)
道尾 秀介
文藝春秋
売り上げランキング: 23144

犯人の正体に意外性はほとんどない。
犬の薀蓄を使ったロジカルな推理はリアリティに欠けているように感じられるが、それはそれ。
本格とはそういうものである。
そして必要ない叙述トリック。
伏線が洪水のように溢れて、本筋とは関係のない回収のされ方をする。
読者を煙に巻くためのレッドヘリングの処理としてはありだな。
青春ミステリーだった。

森博嗣「もえない」

もえない  Incombustibles (角川文庫)
森 博嗣
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-12-25)
売り上げランキング: 78890

安心の読みやすさ。ミステリーだが本格ではない。ぼんやりと謎があって、多少のサスペンスもありつつ、ぼんやりと謎を解き、真実は曖昧なまま。非常にリアルである。物語よりキャラクターといういつもの森作品。面白かった。

桜庭一樹「GOSICKⅢ」

GOSICKIII  ―ゴシック・青い薔薇の下で― (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 50248

伏線はあからさま。
まあ、そうなるだろうなという展開。
はっきり書いてなかったけれど、人身売買ってことでいいんだよね?
それはそうと、なんか面白くないのはたぶん、感性が違うからだと気づいた。あと文法も。
初めて「よつばと。」を読んだときの感覚に似ている。
パラダイム・シフトを起さないレベルの衝撃なのだ。
つまり、単なる違和感。
少女マンガでも読んで育ったのなら、ど真ん中であったことだろう(仮定法過去完了)。

西澤保彦「ソフトタッチ・オペレーション」

ソフトタッチ・オペレーション (講談社文庫)
西澤 保彦
講談社
売り上げランキング: 156585

「無為侵入」ミッシングリンク。食卓探偵。やっぱり基本は妄想というか、それが起こりうる可能性の問題になる。
「闇からの声」ホラーだったな。幽霊というものに対する先入観がトリックの肝だ。実在する幽霊。
「捕食」また妄想。マザコンネタは一流だな。
「変奏曲〈白い密室〉」状況説明が長い。そして意外な犯人。こういうときは動機も重要に思えてくるから、われながら現金なものだ。
「ソフトタッチ・オペレーション」フェチ描写がなかったらもっとコンパクトにできるのでは?伏線はバッチリ。なぜか爽やかな幕切れだし。
一晩で読みきれるほどの読みやすさはさすが。「闇からの声」が一番印象に残った。シックスセンスネタだけど。

石黒正数「響子と父さん」


純文学だ。
小ネタも効いていて、とにかく面白い。
展開はエキサイティング。
やっぱり基本はアホなんだな。
そこが魅力である。

歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)
歌野 晶午
講談社
売り上げランキング: 33957

荒唐無稽なリアル。
ネット上の匿名社会が成立しつつある(もうしてる?)現代ではありえない話ではない。
他人の命をゲームのネタにしていた人が更なるスリルを求めて自分の命まで危険に晒す。
同じネタをオーソドックスな形式で書いていたらどうだっただろう?
三部作らしいから、ここからどう続くのか興味がある。
次作の文庫化はおそらく三年後。

愛川晶「六月六日生まれの天使」

六月六日生まれの天使 (文春文庫)
愛川 晶
文藝春秋
売り上げランキング: 356970

書店のポップに騙された。

叙述トリックだと知って読むとまったく驚けなかった。
少なくとも二人の好江がいるのは明らかだったし、真相も予想していたうちの一つだった。
まあ、読みやすかったからよしとしよう。

有栖川有栖「乱鴉の島」

乱鴉の島 (新潮文庫)
乱鴉の島 (新潮文庫)
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有栖川 有栖
新潮社
売り上げランキング: 220126

地味な割には面白かった。
ロジカルな推理というのは流し読みに向かない。
描写は抑制が利いているというよりは大人しいといった印象。
たった四日間の出来事で事件は二つなのに、なんでここまで長いのかな?
愛やらクローンやらの話はきっと物語の根幹をなすテーマなのだろうがあまり魅力を感じなかった。

貫井徳郎「愚行録」

愚行録 (創元推理文庫)
貫井 徳郎
東京創元社
売り上げランキング: 69573

いやぁ、やられた。
たぶん本格ではないのだ。
犯人は誰か? という謎は最後に明かされるが、目的地はそこではない。
善良な被害者がどんな人物だったのか、様々な人々のときには相互に矛盾する証言によって少しずつ浮き彫りになっていくというポイントが読みどころなのだろう。
少なくともわたしはそう読んだ。
だから、犯人がわかったときもインタビュー形式を取った理由がわかったときも、予想外だったから驚愕した。
だまし討ちといったら言葉が悪いか。
最終的にフーダニットの形式に収まるので、文句は言えない。
「慟哭」「プリズム」に続く第三の衝撃というのはわからないでもない。
解説はわかりやすかった。
いやぁ、人間って汚いな。

桜庭一樹「GOSICKⅡ」

GOSICKII  ―ゴシック・その罪は名もなき― (角川文庫)
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 16208

衆人環視のトリックは簡単すぎた。
密室殺人は状況説明が曖昧なので可能性を絞れなかった。
なんだろう?
なんか面白くないのだ。
不可能犯罪という好みの分野で端正なミステリーのはずなのに。

伊坂幸太郎「終末のフール」

終末のフール (集英社文庫)
伊坂 幸太郎
集英社
売り上げランキング: 4481

三年後に小惑星が衝突し、人類が滅亡することが決定している世界の仙台に暮らす人々の話。
「終末のフール」ずばりタイトルそのもの。人の価値。
「太陽のシール」何がシールなのかわからなかった。これはこれで洗練された文体なのだな。心の琴線に触れた。
「籠城のビール」下衆いマスコミに一石を投じる短編。一種、お約束と化してしまった予定調和。
「冬眠のガール」出会っちゃった。角がないのは素晴らしいことだ。
「鋼鉄のウール」いかなるときもストイックにできることをやるしかない。
「天体のヨール」ヨール!
「演劇のオール」ごっこが現実に。
「深海のポール」屋上の櫓はその時が来れば深海のポールになる。
しかし、あと三年なのだ。
生きることは恥ずかしい。生きててごめんなさい、だけど生き続けるよ、誰かを犠牲にしても、っていう強いメッセージ。

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