伊藤計劃「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」

メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)
伊藤 計劃
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 2905

ページ数は大作だが、内容は超大作だった。つまり密度が高かったということ。
無駄をそぎ落とした文章の中に物凄い量の情報が込められているので、メタルギア・シリーズとかかわりのないわたしには理解が追いつかなかった。ストーリーを追うのにも障害となったほどだ。
しかし、それも前半だけで、世界観がわかってくると、物語の筋よりも、登場人物のドラマのほうが面白くなってくる。あとはジェットコースターだ。
カタルシスはないが、じつは○○だったの連発。
「虐殺器官」との設定の類似は解説を読むとわかった。
罪と罰。赦しと救い。
罪と罰が対応するのはわかる。辞書的な意味でも疑問はない。しかし、赦されれば救われるのか。救われたいという願望は理解できるが、赦しはその必要十分条件なのか。ピンとこないな。
システムによる管理社会。戦争経済。戦争経済というのはかなりの現実味を感じた。社会は豊かなほうがよい、とされている。そのためには経済成長が必要らしい。フロンティアがなくなりつつある現代では閉塞感が生まれて当然だ。そこで口実を見つけては新しい市場を作り出す。本来必要でないものかもしれないのに。いや、需要はあるわけだから、必要ではあるのか。人道的に望ましくないというべきだ。
利益ではなく報酬を目的とした、イデオロギーによらない代理戦争となれば、それはスポーツに限りなく近づく。勝つに越したことはないが、兵士が命を賭ける価値はなくなる。でも、こういう風に考えると、資本主義というのは欠陥だらけだが無限の可能性があるように思える。不完全な人類にはこれが合っているのだろう。完璧なシステムは不完全さを取り込むと内部から崩壊する。社会主義しかり。あらゆる問題は人間のダメさに起因している。その対処としてのナノマシンなのだろう。
管理社会はユートピアかディストピアか。書いてみるとわかるがわれながら見事な脱線ぶりだ。
とにかく面白かった。
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