三津田信三「首無の如き祟るもの」

首無の如き祟るもの (講談社文庫)
三津田 信三
講談社
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久しぶりにどえらい本格に出会った。
事件と推理の詳細は読み終わってすぐの今でももう思い出せないが、これは記憶力の低下だと思って割り切るしかない。
まずは読者への挑戦(お願い?)が突きつけられた時点でのわたしの推理を記録しておく。

 題名からは首切りの問題が核のように思える。十三夜参りの事件は、斧高がある種の信用できない語り手と化しており、情報が不足しているように感じるので後回し。ということで、婚舎の集いで起きた事件について考える。二体の首切り死体が発見された。毬子は婚舎の中で、長寿郎は東守に続く参道の途中にある馬頭観音の祠の中で。指紋は本人であることを証明した。媛首山一帯は事件発生当時密室であった。参道の入口を警官が見張っていたからだ。内部にいたのは、長寿郎、竹子、華子、毬子、斧高、蘭子(とりあえず警官は除外)。監視が始まる前から潜んでいた可能性もあるが、その場合は逃走経路の問題が残る。犯行が可能だった人物はいない(325p参照)。そこで角度を変えて、首を切る必然性を考えてみる。……わからない。気になった点を挙げてみよう。妃女子の死体の状況。鈴江の消息。蔵に食事を運ぶカネ。深夜に入浴する首のない女。江川蘭子と古里毬子。妃女子の首が切られていたと仮定すると、時を隔てた二つの事件を並べたときに、首切り死体は計四体、そのうち首が見つかっていないのは妃女子と毬子のいずれも女性で、前後の状況から入れ替わりの余地が十分ある。

われながら、とても中途半端だ。
こういう自分の体たらくぶりを客観的に振り返ると、もう絶望感しかない。
まあ、それはそれとして、四件の殺人、中でもメインと思われる間の二件は、状況から何からとても凝っていた。
読み終わってみると、まったく無関係の伏線というかただの情報がたくさんあったように思う。
葉っぱは森に隠せというやつだ。
ずるい気はするが、冒頭でエクスキューズは述べられている。
真相がわからないのだから、どれが伏線として機能する情報なのか、筆者はわからずに書いているのだ。
だが、解決編において、ここにこう書いてあっただろ、という伏線の回収は見事。
そして、何度かひっくり返し、最後はメタフィクション的大オチを見せ、その後、そこから一歩ホラー側に踏み込んだフィニッシュブロー。
こうなることは刀城言耶の編者の記として冒頭にて予告されていた。
ほんと油断ならないな。
ということで、非常に面白かったのだが、やはり読み手の劣化は凄まじい。
これを高校生のときに読んでいたら、もう立ち上がれないほどの衝撃を受けていたことだろう。
そのくらいすごかった。
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