奈須きのこ「空の境界(中)」

空の境界(中) (講談社文庫)
奈須 きのこ
講談社
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4/伽藍の洞――式の覚醒時のエピソード。直死の魔眼の獲得。橙子との出会い。幹也との再会。昏睡状態に陥った原因は交通事故ということになっているが、不自然すぎる。幹也もその場にいたはずなのに、ここまでのところ描写がない。この辺りが叙述トリック的なのだろう。

境界式――やはり荒耶宗蓮が暗躍していた。彼は魔術師であった。追記;ここまでまとめて劇場版第4章。尺と媒体の性質の違いのためか、会話の多くが省略され、代わりに小説にはなかった描写が結構多かった。式とか織とかいわれてもテキストがなければ意味不明だし。ロングの式は見た目的にも可憐だった。でも映像があってイメージ的には助かるが、心理描写がないと何のことかわからないだろうな。十分楽しめそうだが、内容を理解するには原作を読むことが必須なのだろう。

5/矛盾螺旋・上――1998年11月。式は臙条巴と出会う。巴は両親を殺害し、逃亡中、式の元に転がり込む。いろいろあって、幹也が免許取得のための合宿から帰ってきて、魔術に関するよくわからない解説。黒桐鮮花は魔術師見習い。幹也は蒼崎橙子が興味を持った事件の調査を引き受け、報告の場に居合わせた式は事件の現場となった小川マンションの住人の中に、臙条の名を見つけ興味を持つ。幹也と橙子は小川マンションへ向かう。そこで判明したのは、本格ミステリ顔負けの大仕掛け――特異な構造のマンション、階段の底上げ、方位の誤認。自宅に戻ると臙条が偶然かどうかわからないがいたので小川マンションへ同行する。そこでは死んだはずの人間が生きていて、別の臙条もいた。その光景は臙条が悩まされていた悪夢と同じだった。本当の臙条家には死後半年程度経過した死体。半月ほど前に殺したという巴の話と矛盾する。にわかに襲い来る死体の群れ。エレベーターの前に立ちはだかる男、荒耶宗蓮。式対宗蓮。相打ちで式はマンションの壁に飲み込まれる。橙子を訪ねてきた魔術師、コルネリウス・アルバ。彼は式の動向を探っていた人物だ。アルバによる宣戦布告。どうやら荒耶とアルバは式を使って、真理に到達しようと試みているらしい。太極たる小川マンションの中に太極たる式を取り込むことによって。橙子が式救出に乗り出すところで一旦幕が下りる。あらすじを書いてみたけれど、よくわからない上に長いな。感想としては、式対宗蓮が面白かった。あと抑止力の話も興味深い。何よりも人類の存続を重視する集合無意識?が英雄を誕生させる。アカシック・レコードとか、ギアスにもあったな。

5/矛盾螺旋・下――橙子と宗蓮の闘い。アルバは完全にかませ犬(それ以下)。魔術論に決着は付かず、戦闘は宗蓮の勝利に終わる。小川マンションは彼の体内だった。逃げ出した巴と幹也が式の部屋で遭遇し、式の救出に赴く。おとりの幹也はエレベーターの前でアルバに出くわし、彼が持っていた橙子の首を潰すのを見て、逃げ出す。恐慌状態の幹也は行き止まりに逃げ込んでしまう。幹也絶体絶命の状況で橙子再登場。トリックの種を明かしてアルバを倒す。他方、救出を任せられた巴は、地下の工房で自らの秘密を知り、エレベーターの先で宗蓮と対峙した。当然勝てない。始末を終えた宗蓮は意識だけで橙子を確認し、気づかれ、会話を交わす。別れ際、橙子から式の能力について指摘され、まもなく体の前に式が現れた。刀を持った式の圧倒的な戦闘力に宗蓮はなすすべなく、建物ごと式を破壊することにし、庭に移動した。そして空間を圧縮しようとしたその刹那、十回から飛び降りてきた式によって致命傷を与えられる。ガイア理論的な地球の保存を目的とする抑止力と、集合無意識に由来する人類の保存を目的とする抑止力。この小説は世界観の説明と脇役の心理描写に多くのページが使われているので、疾走感のある文章にもかかわらず読んだ後振り返ってみると物語としての展開が意外に遅いのだ。題名に採られている螺旋というモチーフについてはよくわからない。繰り返される死や、小川マンションの構造からするとスパイラルではなくてループなのだろうか。それが矛盾していたりしていなかったり。山田正紀にずばり「螺旋」というタイトルがあった。あちらは、DNAやクェーサーなど螺旋は生命の象徴だという話だった(あれ? エイダと混じってないか?)。魔法はキセキを起こすもの、魔術は他の技術でも代用可能なもの、という定義は面白い。橙子が殺された場面は震えた。こういう予定調和を壊すような展開は興奮する。死んでしまったら生き返るのもある意味予定調和だが。まだ下巻が残っているが、ここまでの伏線はあらかた回収されたように思う。ここからはどんな話が描かれるのだろう? 楽しみだ。その前に劇場版を見ないと。追記;その劇場版だが、シャッフルしまくりで意味がわからない。あらすじを押さえていなかったら混乱しっぱなしだっただろう。この構成を採った意図がわからない。ひとつ考えられることがあるとすれば、先に結果を見せることで、それが伏線として機能していたということくらいか。あるいは、実はすべてが終盤のフラッシュバックに凝縮されるとか。つまり、私は式の見ていた夢を見せられていたことになる。彼女は根源の渦、真理に接近していたのだから、彼女が見ることができなかったはずの光景が見られたとしても不思議ではない。夢なら時系列が錯綜しても不思議ではないし、不条理な構成の説明も付く。こんな解釈でどうだろうか。Blu-rayが出たら買おうかな。
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