島田荘司「最後の一球」

最後の一球 (文春文庫)
島田 荘司
文藝春秋 (2010-07-09)
売り上げランキング: 139089

振り返ってみると「帝都衛星軌道」以来十一ヶ月ぶりの島田荘司。
しかし上手いなぁ。午後七時前から読み始めて読み終えたのは十時過ぎ。正味三時間で読めた。最近の島田大先生は手記や独白(しかも相当長い)を組み込んだ小説が多いような気がする。構成上、必要なのだろうが、これも御手洗ものとしては短編であり、御手洗&石岡に宛てられた手記と合わせて、ひとつの人情クライムストーリーとして長編となっている。実際、ミステリとしては伏線もトリックも弱い。だが、そんなことは些事に過ぎない。最後の一球が花瓶を打ち抜くシーンは本当にクライマックスだった。個人を描くことで、社会システムを描き、それにより日本人を描いている。御手洗さんは進歩的というかリベラルというか、1993年当時はそういうのはポジティブな感じだったのだろうが、現代から見るとなんだかちゃちい。日本はダメだな。人間のダメな部分をシステム化してしまっているから、自分がどれだけダメか誰も認識できない。見事な責任転嫁である。結果、閉塞し、誰も打開できない。北欧に行こうかな。国家権力なんて、いくら法律が定められていても、運用するのは結局ただの人で、公務員だから、大きな問題は規則を作ることで対処できても、個別の瑣末な事態に対してはその主体が権威主義的な思想を持たないと公平性を担保できなかったのだ。マニュアルなんて作っても、ただの責任逃れだから本質的な解決にはならない。個人的には人情なんて糞食らえだが、硬直化し融通の利かない仕組みなんてもっといらない。読んでいて思ったが、御手洗&石岡はラノベだった。
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