森見登美彦「四畳半神話大系」

四畳半神話大系 (角川文庫)
森見 登美彦
角川書店
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第一話;映画サークル『みそぎ』に入った世界の話。アニメを先に見ていたのでいきなりハッピーエンドになったのには驚いた。テーマが違うのだ。こちらは毎話占いにしたがって行動し、大団円を迎えるのだが、それでも過去の選択に対する不満や後悔は消えることなく、もしもあの時ああしていたら……という別の可能性を夢見、改めて世界を再構築するようだ。アニメでは毎話好機を掴み損ね、ようやく最終話でハッピーエンドに収束した。十一回も繰り返すにはそうでないと成立しない。まだ一話しか読んでいないのでわからないが、少なくともアニメはあるべき世界の追求、その否定、現実の受容、結論として、自分が変わらなければ世界は変わらないというメッセージが明確にあったように思う。
第二話;樋口師匠に弟子入りした世界の話。自虐的代理代理戦争。物語として起承転結に従うなら「承」に当たる。そんな感じで登場人物の属性が描かれている。
第三話;ソフトボールサークル『ほんわか』に入った世界の話。宗教色に馴染めず小津と一緒に逃げ出し、薔薇色のキャンパスライフは遠のいた……かと思われたが、にわかに三人?の女性が近づいてきて、しかし結局すべて破綻する。
最終話;秘密機関『福猫飯店』に入った世界の話。小津とコンビを組んだせいで意に沿わず出世してしまい、相島先輩の逆鱗に触れ、小津に助けられるが、組織から足を洗い、四畳半に引きこもった。そして無限に連なる自分の部屋に閉じ込められ、彷徨い、あったかもしれない薔薇色のキャンパスライフなんてものを夢想しなくても、自分のいたありのままの世界が十分に素晴らしいものであったことを思い知る。そして小津の病室での会話がそれまでの三話と逆転して終幕。
元々あった世界に『私』という闖入者が現れ、毎回異なる選択をすることによって、見える景色が変わり、少しだけ事実も変動する、と考えるとわかりやすい。要するにマルチエンディングのアドベンチャーゲームなのだ。アニメの構成・演出は素晴らしかったことが改めてわかった。そして原作も面白かった。
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