大森望・日下三蔵編「虚構機関」

虚構機関―年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)
田中 哲弥
東京創元社
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小川一水「グラスハートが割れないように」読みやすい。たしかにSFなのかもしれないが、少なくとも『SF』と聞いてイメージする内容ではない。結果としていい話なのだが、どうも登場人物の思考過程が読めなかった。

山本弘「七パーセントのテンムー」どこまでがリアルの話なのかわからないが、書いてあるとおりだとすると、私はテンムーである。社会不適合な性質を、意識がないという一文で見事に説明できている。作中では、意識がないゾンビは人と決定的に違うという見解を否定し、意識なんてたいしたものではないと結論付けているが、であるならば、意識に優越している無意識とは何なのかという疑問が残る。本能というものとも違うらしい。それに、意識がないことが欠陥であることはれっきとした事実である。

田中哲弥「羊山羊」確かに筒井康隆並みの破壊力だ。登場人物が尽く壊れていく様子がすばらしい。

北國浩二「靄の中」落ちがよくわからない。生まれたばかりの赤ん坊でも溺れるだろう、常識的に。ということは主人公も寄生されていたということなのか。

円城塔「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」内容は部分的にしか理解できなかった。全体としてどのような枠組みの中で書かれているのか、もしかしたら冒頭で示されていたのかも知れないが、私には読み取ることができなかったので、主題はおろか、物語としての顛末すら明らかではない。しかし、なんとなく面白い。

中原昌也「声に出して読みたい名前」驚くほどわからない。で? って感じ。

岸本佐知子「ダース考 着ぐるみフォビア」着ぐるみフォビアは面白かった。あのランドにはそんな秘密があったのか。

恩田陸「忠告」普通のショート・ショート。

堀晃「開封」これもまあ普通。星新一とはそういうことなのだろうか。

かんべむさし「それは確かです」これはSFではない。

萩尾望都「バースデイ・ケーキ」やはり絵柄は古いが、最近の作品だけあって読みやすかった。同じネタでもっとわかりやすくホラーにできる。というか、構成が怪談そのもの。

福永信「いくさ 公転 星座から見た地球」まったくわからない。タイトルの意味も不明。

八杉将司「うつろなテレポーター」面白かった。長編でやられたらうんざりするけれども、短編ならこのくらい甘いのもありだ。どうやら私は量子論が好きらしい。

平谷美樹「自己相似荘」心霊現象をむりやり科学的に説明すればこうなる。しかしそれは世界観なので、この際問題ではない。問題なのは、なぜ彼らは解放されたがったのか、という謎が結局解明されなかったことである。しっくり来ない。

林譲治「大使の孤独」よくわからないミステリという位置づけでよいのではないか。タイトルがネタばれ。

伊藤計劃「The Indifference Engine」カオスから偽りの秩序を経てさらなるカオスへ。虐殺器官もそうだったが、終末とはこういうことか。
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