広瀬正「マイナス・ゼロ」


非常に面白かった。40年前の作品とは思えないほど読みやすかった。中身は現代の目で見ると、オーソドックスなタイム・トラベルもの、ということになるのだが(私の乏しい読書経験でさえいくつか類似作品が思い当たる)、しかし、そういうアイディア、プロットとは無関係に面白いと感じた。理由は不明。物語中盤からさまざまなピースがあるべきところに収まっていき、それは尽く予測可能であり、意外性は皆無なのだが、最後の一捻り、二捻りは予想していなかった。あと、かしらの正体も(笑)。ところで、最後のタイム・パラドクスへの挑戦はない方が綺麗にまとまるのではないだろうか。書き振りからすると、著者は平行世界を想定していないようで、その帰結として、事実が過去の変更にしたがって都合よく修正されるというのはどうも納得いかない。タイム・パラドクスの解決法は、世界は無限に分岐すると考えるか、過去も未来も既定であると考えるかの二通りしかないと思うのだが、どうだろうか。すべてを上書きすると考えれば理解はしやすいが、その場合、論理学や認識論のややこしい問題が関わってくるように思う。作中に丸々引用されていたフレドリック・ブラウン「最初のタイム・マシン」はどこかで読んだことがあるような気がするが、定かではない。オチもよくわからなかった。
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