柄刀一「OZの迷宮」

OZの迷宮 (光文社文庫)
OZの迷宮 (光文社文庫)
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柄刀 一
光文社
売り上げランキング: 53272

「密室の矢」単純すぎて興ざめ。その意味では古典的。
「逆密室の夕べ」館物といっていいのではないか。趣をがらりと変えて、大技が炸裂。
「獅子の城」連作三話目にして早速名探偵退場。
「絵の中で溺れた男」外国人の名前は覚えられない。なんというか、スマートじゃない感じが非情に本格的。ブランドの短編にこんなのがあったような気がした。
「わらの密室」またしても名探偵退場。ミスリードには引っかからなかった。犯人は最初から明らか。本格でなかったら謎ですらない。
「イエローロード―承前 イエローロード―承運」ゆるい本格。発想だけ。
「ケンタウロスの殺人」何となく鉄鼠の檻を思い出した。
「美羽の足跡」いい話だなー。
「本編必読後のあとがき」仕掛けというか企みというか、そういうものがあって、成立していたことは確かだが、そこに驚愕はなかった。言いたいことはわかったけど、だからどうしたの?っていう感じ。
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森見登美彦「有頂天家族」

有頂天家族 (幻冬舎文庫)
森見 登美彦
幻冬舎 (2010-08-05)
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面白かった。この一言で十分なのだが、というか他に言い表しようがない。天狗と人間と狸が混在する京都に暮らす狸たちの話。現実と地続きの異世界という設定はよくある。伊坂の仙台、舞城の福井、三津田の奈良、などなど。フィクションである限り、厳密に言えば、ファンタジーやSFといった、時空間が日常と大きくかけ離れている世界観以外は全て同じ範疇なのだが、先に挙げた作品は、現実とほんの少しだけ、しかし決定的に異なっているという点が特徴的である。日常と超常が同居しているとでも言おうか。頭を空にして読めば、これほど面白いことはない。相変わらず言葉遣いは難解だが、くどさはあまり感じられず、独特のテンポで語られる物語は読んでいて心地良かった。

東川篤哉「館島」

館島 (創元推理文庫)
館島 (創元推理文庫)
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東川 篤哉
東京創元社
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もうすぐ解決篇のようなので、推理めいたことをしてみようと思う。
第二章まで読んだところで、十文字和臣の墜落死事件のトリックを思いついた。建物の中央部、つまり螺旋階段部分が上昇するのではないか。存在しない地下室への階段と扉、展望の良くない展望室から想像した。この場合、謎だった墜落現場は屋上ということになり、建物の周囲にそれらしき痕跡がないことを説明できる。屋上の表面はステンレスなので清掃も容易だろう。本来一階の踊り場である死体発見現場は屋上に直接つながっていたと考えられ、移動の手間も省ける。このとき当然地下室の扉は四階とつながっている。結論として他殺か自殺かは定かではないが、死体を移動させた何者かがいることは明らかである。このトリックを前提として信一郎の事件を見ると、不完全ながら密室となっていた屋上への出入りが小道具や特別な技術を必要としなくなる。一階分屋上部分を上昇させると、本来の屋上に飛び降りるだけで密室から脱出できる。一階分の高さは3メートルから高くても4メートルだろう。生身で十分に可能に思える。栗山はトリックに気づいたため殺されたのだろう。屋上が密室ではなくなるので犯行自体は可能。手段はとりあえず明らかにできたので、ここから犯人の絞り込みに移る。アリバイからは無理だ。シーツが証拠らしいが見当がつかない。館の名前がないというのも事件とどう関連するのか不明だ。このあたりで降参。実はもう一つアイディアを思いついたのだが、事件にうまく結び付けられなかったためボツ。一応書いておくと、螺旋階段が一周するごとに扉がついているというのは錯覚で、実は5/6周ごとなのではないかというものだ。螺旋階段が無駄に広く頭上を覆っていて全容が確認できないという点から思いついた。
答え合わせ。トリックは大体想像通り。ネジとナットまでは思い至らなかった。犯人特定の論理的なことといったらもう……。伏線を全体像に組み込めないからいつも中途半端な推理に終わるのだ。ということで、残念な敗北感はありつつも、面白かった。

東川篤哉「密室に向かって撃て!」

密室に向かって撃て! (光文社文庫)
東川 篤哉
光文社
売り上げランキング: 28261

お笑い本格ミステリーということで読み始めたが、まさにお笑い本格だったなというのが読み終えての感想である。というか、ここまでオーソドックスなミステリは久々に読んだ。ちょっとこの記録をさかのぼって確認してみたら、「乱鴉の島」以来一年ぶりだった。今の気分からするとこういう路線を読みたいのかもしれない。ついに黄金期本格に手を出す時期がやってきたか。←予算的に無理かな。

森見登美彦「太陽の塔」

太陽の塔 (新潮文庫)
太陽の塔 (新潮文庫)
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森見 登美彦
新潮社
売り上げランキング: 2856

テーマは「男汁」的なものだろう。それについては首尾一貫しているのだが、物語としての縦糸はどうもはっきりしないし、横糸ははみ出しまくっていて収拾をつけることを放棄している。わたしが神経質なせいか収まるべきところに収まらないと気持ち悪い。一人称の語り口は独特で面白いのだが、「四畳半神話大系」と比べると素人くさく感じられる。ごちゃごちゃしていて読みにくいのだ。書いていると文句ばかりだが、それは期待が大きすぎるせいで、面白かったことは確かだ。

法月綸太郎「犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題」

犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)
法月 綸太郎
光文社 (2010-07-08)
売り上げランキング: 67346

「【牡羊座】ギリシャ羊の秘密」タイトルは駄洒落。元ネタの国名シリーズは未読。名前が娘のものである可能性は途中で思いついた。しかし暗号まではわからなかった。
「【牡牛座】六人の女王の問題」暗号物。絶対わからない。
「【双子座】ゼウスの息子たち」既読。
「【蟹座】ヒュドラ第十の首」これも既読。
「【獅子座】鏡の中のライオン」事件の構図が二転三転する。ややこしい。
「【乙女座】冥府に囚われた娘」謎に魅力を感じなかった。全体的に作者の思考過程が透けて見える。特に登場人物の名前。トリックを思いついてそれに物語を肉付けしていったという感じ。

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」

ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
売り上げランキング: 3845

たくさんのハッピーエンドがあって、読後感はとても良いのだが、物語の裏側が一切語られないので、消化不良気味でもある。陰謀とはなんだったのか。素直に考えれば利権に絡んだ企みだったのだろう。真実が描かれていないのは大して重要ではないからで、気にすることでもないのかもしれない。それにしても国家とは怖いものだと改めて思った。国家の要件は国民・領域・主権であると教科書が言っている。力を合わせるとか協力とか聞こえの良い言葉だが、人は群れるとろくなことをしない。集団による意思決定は責任の所在を曖昧にし、そもそも人が持つ愚かさに拍車をかける。その上、集団が機能すれば、結果として得られる物も大きくなる。つまり、どうしようもない。伊坂幸太郎はモラトリアムが好きらしく、大学時代への憧憬がいつも見え隠れする。

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