久住四季「トリックスターズL」

トリックスターズL (電撃文庫 (1174))
久住 四季
メディアワークス
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解決編の論理に穴があるなと思っていたら案の定フェイクだった。
御手洗の某短編を彷彿とさせるお粗末さ。
本の厚さに比して事件が薄い。
これは前作でも同じ。
ハイライトは「犯人はあたしだ」という告発。
告白じゃないという点がミソ。
どんなに不条理な結論であっても、それが論理的帰結である限り肯定するほかない、というある意味での本格ミステリの極北。
やはり魔術を考慮しなければならないので、考えがまとまらなかった。
といいつつ、魔術がなくても解答まで辿り着くことはなかっただろう。
さりげなく叙述トリックが仕掛けてあったような気がしなくもない。
ヒントの描写は三つ編みだけ。
これだと前作を後回しにしても叙述トリックが機能するということなのだろうか。
むしろその方が衝撃が増すように思える。
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久住四季「トリックスターズ」

トリックスターズ (電撃文庫)
久住 四季
メディアワークス
売り上げランキング: 515383

ラノベ。

面白い。
設定はわかりやすく、キャラもそこそこ立っている。
問題は謎がよくわからない点。
魔術でできることとできないことの境界が不明なので、一体どこまで魔術を考慮に入れるべきなのか判断できず、推理がまとまらなかった。
結果的には作中でできると明言されたことだけを考えればよかったのだが、読んでいる途中でそれはわからない。
そして、どうやら最後のネタだったらしい叙述トリックは序盤から見えていたため衝撃はなかった。
気づいていたら伏線が見える。
こういうのを再読する人たちは楽しんでいるのだろう。
名前の問題は最近よくあるような気がするが、遊びとしてはあってもよいだろう。
もっと本筋と関連する形でしかもアンフェアでなかったら言うことはない。
続編が楽しみだ。

尾関修一「麗しのシャーロットに捧ぐ」


個人的に進めている「ラノベを読もうキャンペーン」の一環。

傑作だ。

以下ネタバレ。

トリックについては実はまだ混乱している。
何となくわかった気にはなっているが、どういうことか説明しろといれたらたぶんできないだろう。
とりあえず時系列で並べると、「告白」→「第二部」→「第一部」→「第三部」となるだろうか。
第一部の時点ではサイコ・ホラーっぽく、フーダニットのミステリ、第二部はホラーでサイコなオチがあり、ずっと感じていた違和感が解消される。そして第三部で伏線が回収され、大オチはよくわからない。
主にタイトルの意味がわからない。
何か読み落としているようだ。
それにしてもよくできている。
こういうすべてが収まるべきところに収まる話は好きだ。
この前読んだ「怪奇小説~」はその逆。
ああいうすっきりしない小説は相当の筆力がないとゴミ屑以下になってしまう。
なので新人の作品としてはこういうタイプの傑作が多いのかもしれない、と思ったが、もっと単純に審査員受けがよいのだろう。

都筑道夫「怪奇小説という題名の怪奇小説」

怪奇小説という題名の怪奇小説 (集英社文庫)
都筑 道夫
集英社 (2011-01-20)
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「怪奇小説という題名の怪奇小説」という題名の怪奇小説。
もうわけがわからない。

結末だが、異形の先住民ということで多くの怪奇現象を説明できているけれども、明らかにならない部分もある。
盗作するために読んだ洋書の内容が未来を暗示していた理由と、その内容が他人には違って見えた理由の2点である。
解釈を試みると、後者については作中にあったように何らかの理由で主人公が錯覚しているということで良さそうだ。
その何らかの理由が前者の答えにもなる。
その一、予知能力。
その二、夢。
妥当なのはこのあたりか。
特に夢だとすれば、第九章の注釈「物語の中の私(氏名不詳、現在は都内某病院に入院中)にとっては、おわりではなく、はじまりであるらしい。」という記述が傍証になるだろう。
ずっとループしているのだ。

三津田信三「山魔の如き嗤うもの」

山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)
三津田 信三
講談社 (2011-05-13)
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冒頭の怪奇小説がたるかったな。
そこから先は結構なスピード感で読めた。

前書きから非常にクリティカルな伏線が張ってあったわけだが、それが二度にわたって炸裂していてやられた感はなかなか。
しかしこれはあれだな。まともな映像化はまず出来ない、小説だから成立するエンターテインメントだ。

入れ替わりのトリックは私の乏しい読書経験の中でさえ、枚挙に暇がないが、それらの多くは非現実的だ。
理由は単純で、三人称視点からでは成立しないから。
2時間サスペンスになった場合を想像すると、えもいわれぬ残念さが際立つ。

ところで、「厭魅」や「首無」のときにも感じたことだが、事件の本筋に無関係な伏線が多く、それによりリアリティは増大し、謎解きの難易度は上昇している。
読者として推理に挑戦する場合、情報の取捨選択が他のミステリ作品より重要になってくるということだ。
だから私は見事にミスリードに引っかかり、それゆえにどんでん返しも楽しめた。
このあたりが本格のフロンティアなのかもしれない。
惜しむらくは、安易な怪奇オチだったこと。
同じ不合理でまとめるのでも「首無」はすごかった。

結局は、個人的にミステリとしての衝撃はもう期待できないので、衝撃をメタ・フィクションに求めるしかないということだろう。

谷川流「涼宮ハルヒの驚愕(後)」

涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
谷川 流
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-05-25)
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驚天動地の結末というわけではないが、満足できる出来栄えだった。
私の予想は見事に外れた。
世界――過去も未来もひっくるめた宇宙全ては、書き換え可能、分岐もするとしても、その結果までが既定であり、唯一その運命を破ることができるのが涼宮ハルヒに宿る全能の力なのである、という理解でよろしいか。分裂した世界については不確定性理論を当てはめると理解しやすいように思える。いくつかの並行する世界が確率的に存在していて、そのうち一つを認識した時点でそれが1になり他は0になる、ということだろう。しかしそれは個人の意識にとっての話で、それぞれの世界は認識の外にあるだけで消えてはいない。古泉の時間解説によれば、ハルヒは未来のある時点からSOS団を救うために世界を分裂させたことになっているが、それは既定事項だったのだろうか。言い直すと、ハルヒは彼女にとっての過去を変えたのだろうか。……これではまだ不明瞭だ。つまり、再換言すれば、その変更は既定論に則った辻褄合わせだったのか否か。過去に介入したからには彼女にとって否定したい現在があったはずで、それは既定論を超越している。他方で、ハルヒは無意識的には全知全能の神的存在なので完全な予知が可能である。それが何を意味するかと言うと、初めから望まない未来を回避できるということだ。だから彼女が現在において少々悩むことはあっても過去を変えたいと思うことはありえない。常に変えていくのは未来であり、俯瞰すればその変更すら既定ということになる。説明はどちらでも成立する。
渡橋泰水という名前に明らかな作為を感じていたのだが、アナグラムの解読はできなかった。名前のカタカナ化がミスリーディングだったとは。
終盤は伏線回収ではなくて伏線供給による解決だった。情報を氾濫させて当面の事件を陳腐化する、とまでは言えないか。でもそんな印象。

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