西澤保彦「収穫祭」
収穫祭〈上〉 (幻冬舎文庫)
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西澤 保彦
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収穫祭〈下〉 (幻冬舎文庫)
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西澤 保彦
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ミステリーではあるが、本格推理小説ではない。
珍しく私の推理が的中したことからもそれは明らか。
田舎で起きた猟奇殺人事件を描いた第一部はまるで横溝正史のような印象で、舞台を移さずこのまま続き名探偵が登場すれば、本当にそうなっただろう。
が、続く第二部は登場人物こそ共通するものの九年後の別の街が舞台となっている。そして語り手がただ思い出すという推理の欠片も何もあったもんじゃない展開で、当時の状況がほぼ明かされるが、肝心の犯人の正体は不明なまま、新たに発生した事件も放りっぱなしで、地獄絵図で終了。
第三部では再び語り手が交代し、今度は少し推理をしながら、事件の真相に迫り、同時に時を跨いで断続的に起きていた猟奇殺人の犯人も明らかになる。
ミステリーとしてはここで終幕もありかもしれないが、そうはならず、第四部で復興した村でまたしても猟奇殺人が起き、これで一つの因果譚が完成。
そして第五部で最も古い時代が語られ、タイトルの意味がわかるという仕掛け。
長さもそうだがそれ以上にどろどろした内容でもうおなかいっぱい。
教訓としては、意図の読めない親切の裏には恐ろしい悪意がうごめいているということが読み取れる。
それにしても、こんな話をどうやって思いつくのだろうか。
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