米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社 (2011-06-26)
売り上げランキング: 9035

結論を述べれば、世界が反転という煽り文句は明らかに言い過ぎだ。
そういう期待をしなければ普通に面白い。

「身内に不幸がありまして」
フィニッシング・ストロークはいまひとつ。逆転と意外な動機といったところか。

「北の館の罪人」
死者からの告発。何となく黒猫を思い出した。

「山荘秘聞」
叙述トリック!・・・にしてもわかりにくい。これならショート・ショートで十分な気がする。

「玉野五十鈴の誉れ」
最後の一撃だけはなかなか。ぞっとした。けれど結局何がどうだったのかよくわからない。

「儚い羊たちの晩餐」
オチがわからなかった。またバベルの会の周辺で事件が起こるということでいいのか?そもそも女学生は誰なのか?すっきりしない。
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飛浩隆「象られた力」

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)
飛 浩隆
早川書房
売り上げランキング: 43812

SF短編集。

「デュオ」
音楽の話はよくわからないが、どんでん返しはなかなか面白かった。どこの西園伸二だよ、と思ったが、こっちのほうが先らしい。

「呪界のほとり」
当方の想像力の限界を超えている。空間がゆがむというのが想像できない。造物主がいるのならそれは時間に縛られているはずはなく、因果律を操作できるに違いない、という指摘。

「夜と泥の」
テラフォーミングを司る人工知能の奇妙な振る舞いの理由。夏至の夜に現れる少女。

「象られた力」
こちらはギリギリ想像力の内側だ。感想の代わりに連想したものを書いておく。
――「【映】アムリタ」(無意識に働きかける情報)、「東京受胎」(閉じた球体の世界)、「AKIRA」(炸裂する超能力)、「BLEACH48」(それはお前の力じゃない)、「ミステリックサイン」(情報生命体)、「一方通行」(力はベクトルである)
――なにぶんSFの素養がないので間違っているかもしれない。

ミステリとは違い、SFは映像化に向いていると思う。リアリティの問題だ。あくまで現実と地続きの世界観で語られるミステリは映像になると不自然な箇所が目に付く(昨夜探偵Xの挑戦状を見たので本当にそう思う)。他方でSFは科学的ではあってもわれわれが暮らす現実とは異なるルールに従う世界が描かれるので、映像化することでそのイメージを明確にすることができる。金さえあればなんだってできるのでハリウッドと相性が良いのも頷ける。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
三上 延
アスキーメディアワークス (2011-03-25)
売り上げランキング: 15

「プロローグ」
雰囲気はなかなか。

「第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』(岩波書店)」
いきなり重い話。病床探偵で、少ない証拠を基に危うい論理を積み重ねる話。当然真実かどうかは確認できないが、当事者が納得すれば済む話ではある。栞子さんのキャラクターはなかなか印象深く、麗しの変人というところが良い。

「第二話 小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』(新潮文庫)」
新潮文庫のスピンは途中で気がついた。話としては面白かったが、登場する高校生二人がひたすら不快。そしてなにやら不穏な気配が。

「第三話 ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』(青木文庫)」
ハートフルストーリー。

「第四話 太宰治『晩年』(砂子屋書房)」
ミステリとしては変則的なせいか、なんとも微妙。オチにしてもネタ振りに素直に応える形で意外性がない。

「エピローグ」
そんな第四話の後始末をする、まさしくエピローグ。

売れているらしいから続きを期待できるかも、と思っていたらめでたく出版された。

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