乙一「GOTH-リストカット事件」


高校生のとき、朝の10分間読書を強制されていた。
いきなりそんなことをいわれても読書なんて高尚な趣味はなく、何を読んだらいいかすらわからなかったが、昔ホームズを読んで面白かったことを思い出して、もしかしたら私はミステリーが好きなのかもしれないと思って、本屋で探した。
そして本格ミステリ大賞受賞という文字に興味を惹かれて、平積みされていた本書を購入するに至ったわけである。
内容を簡単に説明しておくと、短編集・グロテスク・驚愕、である。
世界観や語り口が親しみやすいかどうかは別にして、とりあえず平易な文章でとても読みやすかった。
毎朝少しづつ読み進めていたのだが、1話目の時点での衝撃は筆舌に尽くしがたいものだった。しかもその衝撃が1話ごとに増していくのである。
結局、一年近くにわたって何度も繰り返し読んだ。
とはいっても魅了されたわけではない。
そもそも活字を追うという行為自体が面倒で、新しい本を読もうという発想がなかったのだ。
しかし、2年生になったのを契機に、私は読書に邁進することとなる。〈つづく〉
漫画版はもっとグロい。
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