西尾維新「ザレゴトディクショナル」


内容(「MARC」データベースより)
子供の頃から辞典を作るのが夢でした。今もまだ、夢のままです…。全460項目、15万文字書き下ろし。「戯言シリーズ」の舞台裏をある程度完全公開! 竹氏が描く4コマ漫画「戯言一番」を巻末再録。全編袋綴じ。


単純にすごい。
よくもまあここまで・・・・・・
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西尾維新「零崎曲識の人間人間」

零崎曲識の人間人間 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 11383

内容(「BOOK」データベースより)
『零崎一賊』―それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一賊。“少女趣味”こと零崎曲識が、一賊に忍び寄る危機を察知し、ついに表舞台に現れた。一賊の結束はどうなるのか。“音使い”零崎曲識の闘いが今、始まる!新青春エンタの最前線がここにある。


こちらも正しく外伝。
サービス精神に満ち溢れている。
いろんな趣味に目覚めそうになる。

西尾維新「零崎軋識の人間ノック」

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 9724

内容(「BOOK」データベースより)
「零崎一賊」―それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。二つの通り名を持ち、釘バット“愚神礼賛”ことシームレスバイアスの使い手、零崎軋識。次から次へと現れる“殺し名”の精鋭たち。そしてその死闘の行く末にあるものは一体!?新青春エンタの最前線がここにある。


見事な外伝だった。
結末の見えている勝負など茶番以外の何ものでもないが、それでも面白いのだからすごい。

西尾維新「零崎双識の人間試験」

零崎双識の人間試験 (講談社ノベルス)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 14789

内容(「BOOK」データベースより)
「零崎一賊」―それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一族。その長兄にして切り込み隊長、“二十人目の地獄”にして奇怪な大鋏“自殺志願”の使い手、零崎双識が赴いた行方不明の弟さがしの旅は、未曾有の闘争劇の幕開けだった!息をもつかせぬ波乱の向こう側に双識を待つものは…!?新青春エンタの最前線がここにある。


戯言シリーズ外伝はひたすら家族小説。
異能バトルが前面に押し出されているがそちらは本質ではない。
家族と血縁と愛情の関係・無関係。

西尾維新「ネコソギラジカル」

ネコソギラジカル(上) 十三階段 (講談社文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 24521

内容(「BOOK」データベースより)
全ての終わりは―まだ始まったばかりだ。“世界”を、そして“物語”を終わらせるため人類最悪・狐面の男と十三階段が動きだす。狐面の男に「俺の敵」と認定された戯言遣い・いーちゃんの運命は?「戯言シリーズ」最終楽章、『ネコソギラジカル』三部作の前奏曲。


ここでようやく全体像が掴めた。

ネコソギラジカル(中) 赤き征裁vs.橙なる種 (講談社文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 36885

内容(「BOOK」データベースより)
10月、戯言遣い・いーちゃん、狐面の男、双方共に犠牲を出しながらもどうしようもない戦いが続く。十三階段を切り崩すべく行動する戯言遣い。しかし、澪標姉妹の襲撃で絶体絶命の危機に。


物語を展開させつつ、これまでの伏線を回収していき、


内容(「BOOK」データベースより)
「多分…それで、おしまいですから」。世界を救うため“人類最悪の遊び人”狐面の男と対決する決意をした“戯言遣い”いーちゃん。復活した哀川潤とともに決戦の場に向かう。最悪対最弱、最終対最強の戦いの結末は。「戯言シリーズ」ここに完結。


大団円を迎えた。

それで、「いーちゃん」の本名は何なのだろう?

西尾維新「ヒトクイマジカル」

ヒトクイマジカル<殺戮奇術の匂宮兄妹> (講談社文庫)
西尾 維新
講談社 (2008-12-12)
売り上げランキング: 17190

内容(「BOOK」データベースより)
生命を礼賛する行為には驚くほどに価値がない、生はどこまでも儚く朧で、死はどこまでも切なく幻だ。そしてそれはただそれだけのものでありそれだけのものでしかなく、むしろそこにそれ以上の価値を見出そうとすることこそが冒涜だ。生きること、そして死ぬこと、その両者の意味を誰よりも理解し、そしてその意味に殉ずることに一切の躊躇がない誠実な正直者、つまりこのぼくは、八月、縁故あって奇妙なアルバイトに身を窶すことと相成った。それは普通のアルバイトであって、ぼくとしては決して人外魔境に足を踏み入れたつもりはなかったのだけれど、しかしそんなぼくの不注意についてまるで情状酌量してはくれず、運命は残酷に時を刻んでいく。いや、刻まれたのは時などという曖昧模糊、茫洋とした概念ではなく、ぼくの肉体そのものだったのかもしれない。あるいは、そう、ぼくの心そのものか―戯言シリーズ第五弾。


ここまで作風がぶれているように見えたのはこのための伏線だった。
本当にすばらしい。
全然関係ないけど、小林泰三の短編を連想した。何でだろう?

西尾維新「サイコロジカル」

サイコロジカル 上 (講談社文庫 に 32-4 西尾維新文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 8595

内容(「BOOK」データベースより)
およそ論理立てて物事を考えるほど無意味なことはない。所詮論理など人の考えたものであり、そして世界は人の手には余りすぎる。博愛を自らの義務と課し、自由を何よりも重んじる、周囲に調和をこの上なく提供する誠実な正直者、つまりこのぼくは、七月、囚われの壊し屋を救う旅に連れられた。パーティのメンバーは玖渚友と鈴無音々。向かう先は悪の要塞―要するには『堕落三昧』斜道卿壱郎博士の研究施設。この冒険の登場人物は誰もが際限なく矛盾していて、誰もが際限なく破綻していて、そして誰もが際限なく崩壊していて、はっきり言って壊れている。それはひょっとしたら壊されただけなのかもしれないが、しかし戯言遣いのこのぼくに限って言えば、わざわざ壊してくれるまでもない。だってぼくは最初から、ほら、こんなにも見事に壊れてしまっているゆえに―。戯言シリーズ第四弾。


雰囲気はミステリだ。
古今東西の名探偵ものめいた感じがよい。
お約束というのはこういうことだ。
もっと短かったらもっとよかった。

サイコロジカル 下 (講談社文庫 に 32-5 西尾維新文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 9068

西尾維新「クビツリハイスクール」

クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子 (講談社文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 3622

出版社/著者からの内容紹介
講談社ノベルス創刊20周年記念密室本
メフィスト賞作家特別書き下ろし作品

新青春エンタ〈戯言(ざれごと)シリーズ〉!
首吊学園に殺戮の嵐!

「紫木一姫(ゆかりきいちひめ)って生徒を学園から救い出すのが、今回のあたしのお仕事」
「救い出すって……まるで学園がその娘を拘禁してるみたいな言い方ですね」
人類最強の請負人、哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼に従って私立澄百合(すみゆり)学園、またの名を《首吊高校(クビツリハイスクール)》に潜入した「ぼく」こと“戯言遣い・いーちゃん”は恐るべき殺戮の嵐に巻き込まれる――。
新青春エンタの真打ち、〈戯言シリーズ〉。維新を読まずに何を読む!


もう完全にはみ出しちゃった。
「クビキリサイクル」の衝撃を期待して読むと肩透かしを食らう。
が、こういうものだと思って読めば十分に楽しめる。
後の作品を見ても、こちら側の方が得意らしい。

西尾維新「クビシメロマンチスト」

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)
西尾 維新
講談社
売り上げランキング: 4091

内容(「BOOK」データベースより)
人を愛することは容易いが、人を愛し続けることは難しい。人を殺すことは容易くとも、人を殺し続けることが難しいように。生来の性質としか言えないだろう、どのような状況であれ真実から目を逸らすことができず、ついに欺瞞なる概念を知ることなくこの歳まで生きてきてしまった誠実な正直者、つまりこのぼくは、五月、零崎人識という名前の殺人鬼と遭遇することになった。それは唐突な出会いであり、また必然的な出会いでもあった。そいつは刃物のような意志であり、刃物のような力学であり、そして刃物のような戯言だった。その一方で、ぼくは大学のクラスメイトとちょっとした交流をすることになるのだが、まあそれについてはなんというのだろう、どこから話していいものかわからない。ほら、やっぱり、人として嘘をつくわけにはいかないし―戯言シリーズ第二弾。


私は自己欺瞞が暴かれる物語が好きみたいだ。
心臓がぎゅっとなる。
色々と規格外だが、まだ謎解きが中心にある。
ところで、あの暗号の意味がいまだにわからないのだが・・・・・・。

虚淵玄「Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話」

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)
虚淵 玄
講談社
売り上げランキング: 300

アニメが放送されたので平行して読んでみた。
面白い。
概ね原作どおりで、文庫版4巻の中頃まで進み、さあこれからというところでアニメは終わった。4月から再開するらしい。
キャスター戦の顛末まで読んだけれど、アニメの続きが楽しみだ。
予習しておくべきか、予想外の展開を楽しむべきか、悩ましい。

『Fate/Zero』 Blu-ray Disc Box Ⅰ
アニプレックス (2012-03-07)
売り上げランキング: 10

道尾秀介「鬼の跫音」

鬼の跫音 (角川文庫)
鬼の跫音 (角川文庫)
posted with amazlet at 11.12.27
道尾 秀介
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-11-25)
売り上げランキング: 4305

内容(「BOOK」データベースより)
刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており…(「〓(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが…(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作。


“驚愕必至の衝撃作”という煽りは少なくとも表面的には正しくない。
そういう期待をしながら読むとがっかりすることになるだろう。

「鈴虫」ミステリーだったけれど本格ではなかった。鈴虫の性質が核としてあってその周りに話を作った印象。意外な真相といえばそうなのだが、そもそも謎の設定が曖昧のなので衝撃はまったくない。『容疑者xの献身』を思い出したけれど、よく考えてみるとそんなに似ているわけでもない。
「犭(ケモノ)」安易だが捻りが効いている。こういうのは楽しい。
「よいぎつね」終盤で虚実が混同しているのかと思えばれっきとした現実で、大オチにいたってはホラーかと思うような内容。合理的な解釈もできるがいかんせん説得力がない。
「箱詰めの文字」その合理的な解釈が出来損ないの作中作となって描かれていた。物語としては大筋での筋は通っているのだが、細かいところで納得できない。三回ひっくり返して着地を失敗したみたいな感じ。
「冬の鬼」日記の仕掛けは面白いが驚きはまったくない。とにかくSと鴉が何なのか気になる。
「悪意の顔」これはホラーだ。結局Sと鴉は何だったのか?
京極夏彦の解説がまるで京極堂みたいに回りくどくてわかりやすかった。

米澤穂信「犬はどこだ」

犬はどこだ (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 64631

内容(「BOOK」データベースより)
開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして…いったいこの事件の全体像とは?犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。


これはハードボイルドなのか?微妙だな。
とにかく結末がすごい。
やりすぎだろ、と思ったけれど、それはきっと作風とのギャップからくるもので、客観的に見ればそうでもない。

米澤穂信「クドリャフカの順番」

クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 10763

内容(「BOOK」データベースより)
待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。大人気“古典部”シリーズ第3弾。


上手いな。
そして面白い。
どこかで似たような小説を読んだ気がするんだけど思い出せない。勘違いかもしれない。
シリーズならではの面白さがあるので、やっぱり順番に読むべきだ。

米澤穂信「愚者のエンドロール」

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
米澤 穂信
角川書店
売り上げランキング: 7438

内容(「BOOK」データベースより)
「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。


あらすじからは「探偵映画」を思い出す。中身は全然違うけど。
何ていうかね、映画的に、小説的に、ミステリ的にかなり凝っているのはわかるんだけど、そしてそれは成功しているとも思うんだけど、衝撃がないんだよな。
上手いし、面白いんだけど、何かね。
でも、これで物足りないのは強欲だよな。

米澤穂信「氷菓」

氷菓 (日本文学)
氷菓 (日本文学)
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米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 3096

内容(「BOOK」データベースより)
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。


駄洒落!!
キャラ小説としては満点に近い。青春小説としては不完全燃焼。
米澤作品をミステリとして読むと舞城作品と同じ感じがする。ミステリじゃないが筒井康隆の短編も同様の印象。
読者への挑戦状が見えないというと伝わるだろうか。
たいていのミステリにはそれらしきものが暗示されているが、このシリーズにはそれが見えない。
したがって謎解きのカタルシスは期待できない。

麻耶雄嵩「螢」

螢 (幻冬舎文庫)
螢 (幻冬舎文庫)
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麻耶 雄嵩
幻冬舎
売り上げランキング: 99629

内容(「BOOK」データベースより)
オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。


完全にやられた!
違和感の向こう側に予想だにしない真実があった。
頭の中を整理するのに少し時間が必要だった。
捻りすぎである。
もはやこれくらいやってくれないと驚けないのだからやってられない。

麻耶雄嵩「名探偵 木更津悠也」

名探偵 木更津悠也 (光文社文庫)
麻耶 雄嵩
光文社
売り上げランキング: 70862

出版社/著者からの内容紹介
京都某所の古めかしい洋館・戸梶邸で、資産家が刺殺された…。
柵もあってしぶしぶ依頼を引き受けた名探偵・木更津悠也を待ち受けていたのは、ひと癖もふた癖もある関係者たちの鉄壁のアリバイ。四角く切り取られた犯行現場のカーテンが意味するものは? 一同を集めて事件の真相を看破しようとする木更津だが…。(「白幽霊」)
京都の街に出没する白い幽霊に導かれるように事件は起こる。
本格推理の極北4編。名探偵・木更津悠也の活躍を、とくにご堪能あれ。


こういう世界観だったのかと意外な気がした。
何らかの大仕掛けがあるような気もするのは考えすぎか。
感想は、名探偵が迷探偵にされてしまう悲哀、かな。

麻耶雄嵩「木製の王子」

木製の王子 (講談社文庫)
麻耶 雄嵩
講談社
売り上げランキング: 277479

内容(「BOOK」データベースより)
比叡山の麓に隠棲する白樫家で殺人事件が起きた。被害者は一族の若嫁・晃佳。犯人は生首をピアノの上に飾り、一族の証である指環を持ち去っていた。京都の出版社に勤める如月烏有の同僚・安城則定が所持する同じデザインの指輪との関係は?容疑者全員に分単位の緻密なアリバイが存在する傑作ミステリー。


かつてこれほどまでに隙のないアリバイトリックがあっただろうか?
いや、知らないけれど。アリバイ崩しはあまり好きじゃないから。
核にあるのは冗談みたいな一発芸。
このトリックがミステリ的にどうかという話はさておき、私は本格ミステリの持つ不自然さに対する解答だと感じた。
密室トリックや叙述トリックはとにかく解決篇を読めばすっきりするのだけれど、論理の積み重ねによって犯人を特定するようなミステリを読んでいたら、納得できないことがよくある。探偵役が100%でないことを断言するからだ。そこでは蓋然性という言葉が幅を利かせている。その胡散臭さたるや、「自称タレント」とどっこいどっこいである。
現実において、結果から原因を推測することは、原因から結果を予測することより遥かに難しい。そこに人間心理が絡めばなおさらだ。
だから名探偵も悩むのだ。
では、どうするのかというと、関係者から個性を取っ払う。不確実性を取り除くといったほうが適当かもしれない。
登場人物全てがプリミティブな人工知能のミステリを想像してほしい。複雑に絡み合った方程式の答えはいつも一つだ。そこに揺らぎは存在し得ない。
問題はそれ自体が非現実的だということだが、この問題を解消した一つの形が、ここにある。

麻耶雄嵩「鴉」

鴉 (幻冬舎文庫)
鴉 (幻冬舎文庫)
posted with amazlet at 11.12.27
麻耶 雄嵩
幻冬舎
売り上げランキング: 14200

内容(「BOOK」データベースより)
弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点衝く大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉。そしてメルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。一九九七年のNo.1ミステリに輝く神話的最高傑作。


全体に漂う雰囲気は非常によい。
巧緻なプロットから生み出されるアクロバティックな真相もすばらしい。
残念なのは、お話的にどうも面白くない点だ。
銘探偵が暴れだすまで我慢できるかどうかが分かれ目。
そこから先は期待以上のものを見せてくれる。

麻耶雄嵩「あいにくの雨で」

あいにくの雨で (講談社文庫)
麻耶 雄嵩
講談社
売り上げランキング: 217741

内容(「BOOK」データベースより)
雪に囲まれた廃墟の塔で密室殺人が発生した。現場には塔へ向かう足跡が一筋だけ。殺されたのは発見者の一人、祐今の父だった。かつて同じ密室状態のこの塔で祐今の母が殺され、容疑者として逃亡中だった。事件が解決せぬままに呪われた塔では三度目の殺人が。新本格ミステリ第二世代の旗手が密室を変えた。


いきなり解決篇から始まるというトリッキーな構成。
だからといってそこに大きな仕掛けがあるわけでもなく、内容自体は正統なミステリ。
銘探偵が登場しないだけでこんなにも違うのかと本筋とまったく関係ないところで驚いた。

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