東野圭吾「私が彼を殺した」

私が彼を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
売り上げランキング: 6,112

内容紹介
全編、読者への挑戦状。
この謎を解けるか?
流行作家・穂高誠が、新進の女流詩人・神林美和子との結婚式当日に毒殺された。
容疑者は3人。
しかし3人が皆「私が彼を殺した」とつぶやく。
はたして真相は…
加賀恭一郎シリーズ


105円だったのを見つけたので早速買ってきた。
面白いが少し冗長に感じた。
今度はかなり変則的。
1つの殺人事件における3人の容疑者それぞれについての倒叙物となっていて、多重解決が成立しそうであり、さながら「毒入りチョコレート事件」といった趣。
「毒チョコ」は読んだことないけど。
さて、肝心の謎解きだが、またしても一読した限りでは無理だったので、適宜振り返りつつ推理を試みる。

以下ネタバレ。

まずは整理しておこう。容疑者は神林貴弘、駿河直之、雪笹香織の3名。
犯行に使われた可能性のある硝酸ストリキニーネ入りのカプセルは2つ。
1つは貴弘がゴミ箱から回収したもの、もう1つは浪岡準子の薬瓶から消えたもの。
つまり全員にとって犯行は可能だった。いや、違うな。それでも不可能だったのだ。
いつピルケースに毒薬を仕込んだのかという問題がある。
したがって何らかのトリックの存在が疑われる。
加賀刑事によれば、美和子のバッグ、薬瓶、ピルケースの内、どれか1つに身元不明の指紋がついていた、という点が犯人特定の鍵となるらしい。
はい、思いついた。ピルケースだな。
指紋は穂高誠の前妻のものだろう。
ピルケースはペア、前妻の持ち物は駿河の部屋に置いてあるという2つの事実が犯人を示す。
すなわち犯人は駿河直之だ。
これにて犯人当ては終了だが、まだ不十分な点が残る。
駿河はいかにして穂高を殺害したか、考えよう。
当然、どこかでピルケースが入れ替えられたことになる。
確認してみるとピルケースをボーイに渡す前に一度ポケットに入れたという描写があった。
ここだな。
これで物理的に不明な点はもうない。
心理面は放っておこう。

また袋とじ解説と結論は同じだった。
ガチガチの犯人当てじゃないからワンポイントで犯人にたどり着いてしまい、難度はあまり高くならないのだな。
少し考えた後、閃いた瞬間の快感が得られたので良かった。
そういう意味では絶妙な難易度だったのだろう。私にとって。
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柳広司「吾輩はシャーロック・ホームズである」

吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)
柳 広司
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 108,219

内容(「BOOK」データベースより)
ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて…。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。


良質なパスティーシュ。
漱石とホームズの組み合わせは日本ならではだろうな。
「黄色い下宿人」を思い出した。
雰囲気は楽しめるし、普通に面白いのだが、事件自体が地味なせいか、本格的な楽しみは薄め。
でも推理の過程はいい具合にふざけていて良かったし、ホームズのエスパーっぷりも素晴らしかった。
ところでトリップ中のメタフィクショナルな描写はどういう意味だったのだろう?

東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
売り上げランキング: 8,388

内容紹介
殺したのは男か女か
究極の「推理」小説自殺の偽装を施され、妹は殺された。
警察官である兄が割り出した容疑者は二人。
犯人は妹の親友か、かつての恋人か。
純粋推理の頂点を究めた話題沸騰のミステリ!
加賀恭一郎シリーズ


犯人が明示されないという本物の推理小説だが、そういうこととは無関係に楽しめた。
ぐいぐい引き込まれる感じは流石にベストセラー作家だ。
伏線を見逃さないように注意深く読み進めるつもりだったが、面白くて一気読みしてしまった。
その結果、一読した限りでは犯人を特定することができなかった。
そこで改めて推理を試みる。

以下ネタバレ。

上述のように推理をまとめられなかったので、康正の推理に乗っかる形で考えると、まず犯人は右利きであると確定できる。
加賀刑事は睡眠薬の袋の破り方を見て、右利きの人物のしわざであると考えた。
ところが園子が左利きだったことを確認したので他殺だと確信したのである。
ここで二人の容疑者の利き手を調べるためページを遡る。
証拠となるらしい睡眠薬の袋を破る場面は破り方についての叙述はなかった。
さらに遡ると、どちらも右利きらしい描写はあるのだが確かではない。
本文中にもあるように左利きを矯正することはままあるからだ。
これでこの線はどん詰まり。
アプローチを変えると、何のことはなく犯人を特定できた。
なぜ康正は犯人を特定できたのかという点について考えると、答えは自ずと明らかだ。
康正は加世子が袋を破るところを見ている。
そしてそれが決定的な証拠となるらしい。
あとは簡単な論理パズルを解くだけだ。
加世子が右利きだと仮定すると犯人の特定はできないが、左利きだと仮定すれば自動的に潤一は右利き、すなわち犯人となる。

袋とじ解説を読むと同じ結論だった。
そんなに難しくなかったな。
続編も読みたくなった。

私が彼を殺した (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社
売り上げランキング: 19,207

倉阪鬼一郎「迷宮Labyrinth」

迷宮Labyrinth (講談社ノベルス)
倉阪 鬼一郎
講談社
売り上げランキング: 877,529

内容紹介
うち捨てられた病院で起きた荒唐無稽な不可能犯罪──収容されていた院長の娘が密室で刺殺され、凶器の短剣も“三重の密室”から、持ち出されていた。彼女が遺した奇怪な小説『迷宮Labyrinth』は何を語る?不吉な紅姫の伝説とは?混沌のなか惨劇はエスカレートし、悪魔的終局が現出する。これぞ鬼才の精華!



三重密室とは何だったのか?
つっこんでしまうと負けなんだろうな。
作中作とか暗号とか力を入れるところが違うだろと言いたくなる。
本格ミステリだと思っていたらそうじゃなかった、というのはありだと思うけれど、どうせやるならもっとぶっ飛んだものじゃないと。

円城塔「後藤さんのこと」

後藤さんのこと (ハヤカワ文庫JA)
円城塔
早川書房
売り上げランキング: 29,362

内容(「BOOK」データベースより)
さまざまな「後藤さん」についての考察が、やがて宇宙創成の秘密にいたる四色刷の表題作ほか、百にもおよぶ断片でつづられるあまりにも壮大で、かつあっけない銀河帝国興亡史「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」、そしてボーイ・ミーツ・ガール+時間SFの最新型モデル「墓標天球」など、わけのわからなさがやがて圧倒的な読書の快楽を導く、さまざまな媒体で書かれた全六篇+αを収録。


「後藤さんのこと」何が何やら。色んな物を後藤さんで代用した文章のように思われるが、私のこの認識はきっと間違っている。一言で言うと、わからない。

「さかしま」二人称小説というところに仕掛けがありそうだと見当をつけつつ読んだ結果、わからなかった。11を読み直すと少しわかった気がした。メタフィクションだったという理解で正しいだろうか。ここに書かれている内容を否定することはできないということだ。ゲーデルのあれだな。

「考速」わけがわからない。書いてあることはおぼろげにではあるが理解できる。しかしその意味となるとさっぱりだ。専門書を想起させる言葉遣いはリーダビリティを損なう事この上ない。

「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」これは何だろう。まじめに整合性のとれたストーリーが読み取れるのだろうか。残念ながら理解できなかった。

「ガベージコレクション」これは多分ものすごく単純な話なのだ。説明はできないけれど。科学的妄想小説ということにしておこう。

「墓標天球」またしてもメタフィクションだったが構造は幾分わかりやすい。α、β、γの三人の視点で語られる物語。αは少女、βは少年、γは時間を逆行するβ。時間の流れを空間に落とし込む場合、それぞれが直角に交わる円とすると、交点は6つ。ゆえに6つの場面で語られる。立方体の例えでも良い。なぜそのような交わり方をしているのかはそうであるからとしか答えられない。円環というものは閉じているものなので時間もループする。誰かがこじ開けてくれたら、どうしようもない現状から解放されるかもしれない。

「[付録]INDEX」索引のみで構成されたメタ小説。この形でしか成立し得ない。よくもまあ思いついて実行するものだ。

古屋兎丸「Palepoli」

Palepoli
Palepoli
posted with amazlet at 13.03.15
古屋 兎丸
太田出版

いやあ、やられた。
4コマ漫画である。
いくつかのキャラクターと形式を軸に、手を変え品を変え、4コマ漫画には不要に思える妙に高い画力でシュールなギャグを展開しながら、驚きの終幕を迎える。
「娘は調教されていた」というネタの勢いだけで買ったので、ここまでのものだとは思っていなかった。
それにしても、やられたな。

冨樫義博「HUNTER×HUNTER」

HUNTER × HUNTER ハンターハンターVol.1 [Blu-ray]
バップ (2012-01-25)
売り上げランキング: 40,198

キメラアント編がアニメ化されるようなので復習がてら読んでみた。
いやあ、すごいな。
中盤から何度も涙腺が崩壊した。
前に読んだときはそんなことなかったのに。

キメラアント編までアニメ化となると色々と腑に落ちる。
アニメ冒頭でカットされたカイトの存在は分かりやすさを重視したがため
必要性の感じられなかったナレーションは宮殿突入後における違和感を感じさせないため
脳天気なBGMは後の陰惨な展開への前フリ

しかしこれは本当にアニメでやれるんだろうか?
OVAならいざ知らず、TVで、しかも午前中の放送枠。
自主規制しまくるぐらいならはじめからやらないほうが良いのではないか?
期待より不安のほうが大きいが、ぜひ頑張ってもらいたい。


HUNTER×HUNTER 32 (ジャンプコミックス)
冨樫 義博
集英社 (2012-12-28)

米澤穂信「追想五断章」

追想五断章 (集英社文庫)
米澤 穂信
集英社 (2012-04-20)
売り上げランキング: 15,158

内容(「BOOK」データベースより)
大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり―。五つの物語に秘められた真実とは?青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。


ドラクエ7を買ったので結局2月は一冊も本を読まなかった。
エンディングまで60時間ちょっとだったから100時間以上かかったPS版より遊びやすくなったのは確かだろう。
それにしても最近のゲームは窮屈だな。
やれることは増えたのにそれをすることが煩わしいという本末転倒。
これならベタ移植のほうがマシだたんじゃないかとさえ思える。
こうして緩やかに衰退へ向かっていくのである。
成熟すると守りに入って迷走するのは運命なのか。
まあそんな話は置いといて、およそ一月半ぶりの読書はなかなか良かった。
買うだけ買って読めていない本がたくさんある。
その中から比較的読みやすそうなのを選んでみた。
一年近く熟成していたようだ。
古本屋の居候が学費を稼ぐためにある作家が書いた小説を探す話だ。
なんともつまらなそうなあらすじだな。
読むと正しく推理小説だった。
古典部シリーズからキャラ萌えと青春を取っ払ってリアリズムを添加した感じ。
そこはかとなく漂うひんやりとかび臭い空気がミステリアスで良い。
手は込んでいるが驚愕の真相とかサスペンスとかはほぼないので爽快感に乏しい。
逆から言えば落ち着いた雰囲気でゆるりと読める。
さて、次はどうしようかな。
本格ミステリ、SF、ラノベ、たくさん積読中なのでどれから手を付けるべきか判断がつかない。
ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
スクウェア・エニックス (2013-02-07)
売り上げランキング: 14

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