うえお久光「紫色のクオリア」

紫色のクオリア (電撃文庫)
うえお 久光
アスキーメディアワークス
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内容(「BOOK」データベースより)
自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている…ような?イラストは『JINKI』シリーズの綱島志朗が担当。「電撃文庫MAGAZINE増刊」で好評を博したコラボレーション小説が、書き下ろしを加え待望の文庫化!巻末には描き下ろし四コマのほか、設定資料も収録。


面白かった。評判通りだ。
長めの短編と中編にエピローグという構成で、最初の短編の時点では、少し不思議という意味のSFだったのが、続く中編になると設定を掘り下げてそこに科学的な解釈を加え、量子SFとでもいうべき小説になっている。
私の少ない読書経験の中でも量子論を扱った小説はいくつも読んだことがあるが、ここまで徹底的なのは初めてだ。
量子力学、不確定性原理、シュレディンガーの猫、コペンハーゲン解釈、多世界解釈、フェルマーの原理、人間原理などなど、キーワードは挙げればきりがないが、こういった少しでもSFを齧ったことがある人なら見たことのある言葉が次々に出てきて、しかも物語は筋立てと小道具が逆転したような印象さえ与えるもので、常識からかけ離れてナンセンス極まりなく、とにかくややこしい。
このややこしさはおそらく視点によるものなのだろうが、特別難解というわけでもないし、他の視点では成立しないように思えるので、最適なのだろう。
結末について、これだけめちゃくちゃにやったのに、最終的に日常へ回帰する。物足りない気もするが、私が伊藤計劃の次作に期待したのはこれではなかっただろうか。絶望→すったもんだ→原状回復→希望。まだ読んでいない「屍者の帝国」が楽しみだ。
連想したもの:「バタフライ・エフェクト」「エイダ」「アルジャーノンに花束を」もっとあるけどとりあえずこれだけ。

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