麻耶雄嵩「メルカトルかく語りき」

メルカトルかく語りき (講談社ノベルス)
麻耶 雄嵩
講談社
売り上げランキング: 150,350

内容(「BOOK」データベースより)
ある高校で殺人事件が発生。被害者は物理教師、硬質ガラスで頭部を5度強打され、死因は脳挫傷だった。現場は鍵がかかったままの密室状態の理科室で、容疑者とされた生徒はなんと20人!銘探偵メルカトルが導き出した意外すぎる犯人とは―「答えのない絵本」他、全5編収録。麻耶ワールド全開の問題作。


ということで新年1冊目のミステリ。

「死人を起こす」これはありなのか? それらしい推論をでっち上げることはよくあるが大抵の場合真相も示される。しかし本作は犯人の特定を放棄している。フーダニットとしてはなしだがミステリ的にはありだ。

「九州旅行」メルカトル鮎といえばこういう感じだった。ところで時代設定はどうなっているのだろう。最後の事件のころに携帯電話やパソコンは普及していただろうか。

「収束」まさかの不確定性原理。ある意味で犯人は特定され真相は明らかになっている。実験的だがたぶんありだ。

「答えのない絵本」おそらく『木製の王子』の発展形なのだろう。論理を積み重ねた先に現れた答えがありえないものだったらどうするのか。無謬の銘探偵だからここまでできるが、もしメルカトルじゃなかったら論理を放棄しなければならず、本格ではなくなってしまう。リアリティはないがパズラーとしてはこうならざるを得ない。

「密室荘」要するに本格ミステリ空間なのだ。現実世界の物理法則とは別に本格ミステリのコード(ルール)が物語を司っている。そこでは虚構内の人物がリアリティを追求することに無理があり、それが不条理な結論を導く。本格ミステリのコードに則っている限り、いくら不条理な結論であったとしても肯定せざるを得ない。この辺りが本格ミステリの限界なのだろうな。

木製の王子 (講談社文庫)
麻耶 雄嵩
講談社
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