早坂吝「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」

虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社文庫)
早坂 吝
講談社 (2017-09-14)
売り上げランキング: 252,055

内容(「BOOK」データベースより)

上木らいちは様々な客と援交している高校生で、名探偵でもある。殺人現場に残された12枚の遺体のカラーコピー、密室内で腕を切断され殺された教祖、隣人のストーカーによる盲点をつく手口―数々の難事件を自由奔放に解決するらいち。その驚くべき秘密が明かされる時、本格ミステリはまた新たな扉を開く!さらに過激で、さらに斬新な傑作誕生!!「奇才」による待望のメフィスト賞受賞第1作!


「紫は移ろいゆくものの色」構成上犯人は明らかで、肝心のハウダニットの謎は考える気が失せた。というのも恐ろしい叙述トリックの気配を感じ取ったためだ。太字で強調された文をもとに中学生レベルの方程式を解くと、その直前の記述と矛盾が生まれ、それを解消しようとすると身の毛もよだつ事実が浮かび上がってくる。この一編では伏線が放置されたので、きっと最終話に種明かしがあるのだろう。炸裂するのを楽しみにしていよう。
「藍は世界中のジーンズを染めている色」推理の穴を埋めるための証拠が不自然。またしても意味深な太字。それに関連する伏線も見つけた。
「青は海とマニキュアの色」やられた。バカミスだ。しかも無駄に論理的。今度の太字の評価に困っていたら、これまでの想定と矛盾する描写があった。この矛盾をなくす手段はたくさんあるが、今のところその合理性がないので、つづきに期待。
「緑は推理小説御用達の色」またやられた。二重の叙述トリックだ。もしかしたら三重かもしれない。そしてまた太字の評価ができない。
「黄はお金の匂いの色」伏線が見えたが、まだ結論は出ない。
「橙は???の色」???
「赤は上木らいち自身の色」見事に想定を上回られた。謎解きのカタルシスはないが、これはすごい。論理に重きを置く本格ミステリでありながら、同時にそれを皮肉るアンチミステリでもあり、そもそもミステリである意味をなくすようなメタフィクション性まで見せながら、しかし結局ミステリである。
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